元F1レーサーの井出有治少年、カート時代のバネットは想い出の相方第1号【井出有治のとにかく楽しかった珍&名車3選・その3】

15歳で始めたカートからレーシングドライバーのキャリアをスタート、その後はF1まで上りつめたトップレーサーであり、clicccarハイパワー系テストドライバーをお願いしている井出有治さん自らがセレクトする【井出有治の○○5(3)選】。今回は「とにかく楽しかったクルマ3選」を紹介しています。

その1では気分は星野一義P10プリメーラその2ではBMW MINIクーパーSを、その当時の思い出やその時代のレースの話等々含め語ってくれました。

ラストその3では、カート時代のサービスカーであり遊びグルマでもあった1BOXの「バネット」。オートスポーツ誌バックナンバーの中から根性(笑)!で探し出した当時の画像と共に、ではいってみましょう!

■カート地方戦時代の戦績は表彰台かリタイヤか!? サービスカー「バネット」との想い出

車名:バネット(年式?/シルバー/FR/ガソリン車/乗っていたのは80年代後半〜90年代前半くらい)

15歳(1990年)から始めたカート。そのカートの運搬やサービスカー的に乗っていたのが、バネットです。

画像のバネット、1986年式のスタンダードルーフ…っていうのをclicccarやすのさんが「も〜コレしか見つからない!」って半ギレで言うんですけど、ボクが乗っていたのとはなんかちょ〜っと違うんですよねぇ。顔はこんな感じなんですけど、もっと全長が短かったんですよ。

え〜っとねぇ、ロングではなくてハイエースの小さいバージョンみたいな感じで、シートもペラッペラのパタパタ畳めるヤツで、カクカク四角っぽくて…っていう記憶なんだけど。色がシルバーだったのダケは覚えているんですけど、年式も型式も記憶に無し。

ン〜ボクが乗っていたバネットは何だったんだろうか?「教えてクリッカー」で教えて欲しいくらい(笑)!

でね、このバネットはまだ免許を取る前から家にあり、オヤジに運転してもらってカート場へ練習やレースに行っていました。18歳で免許を取ってからはカートのサービスカー以外でも、遊びや普段乗りとしてもよく使っていました。

カートといえば、地方選時代は「表彰台かリタイヤか」みたいな戦績。全日本戦に出るようになってからは「ちゃんと完走しよう…」って思えるようになったんですよね。大人になった第一歩時代、かな?

このバネット、エンジンがお尻の下にあって超フロントヘビーなのにFR! そうFFじゃないんですよ。それを近所のダートの空き地みたいなところで振り回して遊んでいたんです。後ろは荷物を乗せる前提なので、空荷でダートを走るとトラクションが全然かからない。その難しさを一生懸命走らせて遊んでいました。

バネットに乗ってカートの練習行き〜の、サーフィン行き〜の、友達みんなと遊び行き〜のって! 今まで、家のだったり自分のだったりかなりの数のクルマに乗ってきましたけど、その中では使い勝手の幅が一番、広かったクルマでしたね。

■ストリートデビューはGT-R!…じゃなくバネット(涙)

レーサー井出有治を育てたマイカー5選」のGT-R(BNR32)のところで、『免許取得した日にGT-Rに乗ろうとしたらオヤジが隠した…』って覚えてる? ストリートデビューはGT-Rで!って楽しみにしていたのに、結局はこのバネットでデビュー(笑)! そんなこともあったりする想い出のクルマでもあります。

免許取得後すぐって、いろんなところに行きたいって思うじゃないですか。このバネットだったら6人乗れるし荷物もメチャクチャ載るので、地元の友だちとよく海とか行きましたね。エルグランドみたいに高級・綺麗なクルマじゃないけど、まだ子どもだから「取り敢えず何でもいいからクルマに乗れれば楽しい!」みたいな。

■ブン回し過ぎて白煙モクモク! 燃調不調じゃありませんでした〜

バネットはとにかく超フロントヘビーなFRなので走ると楽しかった〜。1回ふざけて思いっきりブン回していたら、ミラーに白煙がブワ〜!って上がってるのが見えて。

でもね、カートやっているときだったから「白煙=燃調かぶり気味?」としか思わず。「な〜んか吹けないな〜、カブってるのか?」と思って更にバンバン回してたら白煙がどんどんひどくなってきて! ナニ〜?って思ったら、要は回し過ぎてガスケットが抜けちゃったんですね!

ボク、高校が自動車科だったから自分でエンジン降ろしてガスケット交換しようかと思ったけど、オヤジが「も〜余計なことしなくていいから!」って。ボク自動車科なのになぁ(笑)。

■真夏のオーバーヒートは暖房ガンガンで対処=車内は地獄絵図!

ある夏の日…友だちとバネットで海へ行った帰り道。真夏の渋滞にハマったら水温がグイグイ上がってきちゃって「ヤバイヤバイヤバイッ!」って。仕方ないので暖房を全開にしてファンの風で熱を逃がそうと。真夏に暖房ガンガンだから窓全開にして、止まっている間はドアも開けて! そんな感じにトラブル対処っていう中途半端な知識はあったんですよね〜。ホラ、なんせボク、自動車科なので!

渋滞ハマってオーバーヒート!なんて、今の歳でそんなクルマに乗ったら「オ〜イ!」って感じになるけど、小僧時代にみんなとワイワイやっているときだったからこその楽しい思い出になっていますね。イマドキのお洒落コンパクトカーやミニバンなんかじゃ、真夏の大渋滞で暖房かけて窓全開で死にそうになりながら大笑いして…なんていう楽しみ方は絶対に出来ないですよ〜。

え、そんな思い出は作りたくないって? いや〜バネット、ほんと楽しかったな〜!

■ラフに扱っても気遣いいらず! 今の若いコたちにもそういうクルマの楽しみ方をして欲しいな

持っていたバネットはホントに安い商用グレードのクルマだったから、今まで乗ってきたクルマの中では一番ラフに楽しめました。気を遣わなくていいって超ラクチンですよ〜! 免許取得した日にも乗ったことだし、まぁいい意味で『オレの最初の相方』がバネットでしたね。

免許取ってすぐの小僧が乗るには、それくらいラフに扱えるクルマが丁度いいと思います。高級・高性能なクルマじゃなくても、バネットみたいな気軽なクルマだと楽しみ方を自分で見つけて遊べるじゃないですか。

運転席もまったくホールド性がなく、シートを起こせばフロントに3人座れて、リヤシートは乗る人がいなければバタンバタンとたたんで荷物積んで。このリヤシートは言葉通りのフラットシートなので寝やすいんですよ。「元祖車中泊グルマ」みたいな感じ! 今の若いコたちにも、そんなラフに扱えるクルマでそれぞれのクルマの楽しみ方を探して味わって欲しいですね。

10代カート時代の井出有治さん画像を、オートスポーツ誌バックナンバーから見つけたときにはガッツポーズものでした(笑)!

今週末の2019年5月25〜26日は、井出有治選手が参戦している「スーパーレース・キャデラック6000(ASA6000)」の第2戦が、韓国・エバーランド・スピードウェイサーキットにて行われます。第1戦は3位! 次はお立ち台のてっぺん目指します!! YouTubeでLIVE配信もされるので応援、ヨロシクお願いいたします!

さて次回は…まだ決めていませんが、面白い「井出有治の○○選」を厳選してお届けしていきますのでお楽しみに!

(語り:井出 有治/文:永光 やすの/画像:オートスポーツ誌/永光 やすの)

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P10プリメーラをブン回せば「気分は星野一義!」【井出有治のとにかく楽しかった珍&名車3選・その1】
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FF好きな琴線にビンビン触れたMINIクーパーS & 韓国レースRd.1報告も【井出有治のとにかく楽しかった珍&名車3選・その2】
https://clicccar.com/2019/05/19/816781/

街中でもドライビングトレーニング!?「元F1ドライバー・井出有治を育てたマイカー5選」
https://clicccar.com/2019/04/03/730115/

【関連リンク】

井出有治オフィシャルサイト:yuji-ide.com
https://www.yuji-ide.com/

レースとクルマの電子雑誌書店 ASB電子雑誌書店
https://www.as-books.jp/

SUPERRACE CHAMPIONSHIP公式サイト
http://www.super-race.com/eng/main/main.jsp

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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