【新型トヨタ・RAV4 デビュー】世界初の「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を含めた3種類の4WDを設定

●ダイナミックトルクベクタリングAWDを含めた3種類の4WD、それぞれの狙いは?

2WDをエントリーグレードに設定するものの、4WDを前面に押し出したSUVである新型RAV4には、3種類の4WDモデルが用意されています。ガソリン車向けが2タイプ、ハイブリッド仕様の「E-Four」。

世界初の新4WDシステムである「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は、前後トルク配分に加えて、後輪トルクを左右独立で制御するトルクベクタリングを用意。前後トルク配分は「50:50」、後輪の左右トルク配分は「0:100〜100:0」まで電子制御で可変制御。後輪左右のトルク差を生むのは、リヤの電子制御カップリングで、その狙いはオンロード・オフロードを問わず安定したコーナリングを実現する点にあります。

なお、「ダイナミックトルクベクタリングAWD」が世界初を謳うのは、前後ラチェット式ドグクラッチで切断するディスコネクト機構が採用された点(2019年4月時点、トヨタ調べ)で、4WD走行が不要と車両が判断すると後輪に動力を伝達させる駆動系を切り離すことで、燃費向上が図られることになります。こちらは、「G “Z package”」「Adventure」に搭載。

同4WDの狙いは、当初、雪上などの雪道やオフロード対策ではなく、オンロードでの回頭性を高めるとともに、燃費向上も狙う4WDとのこと。ガソリン仕様で2つの4WDを設定するというコスト(手間暇)をかけた理由が分かりました。4輪独立で制御することで、交差点ひとつでも曲がりやすくなるのが狙い。オンロード、雪上も含めて安定性と操縦安定性を高めるのが開発意図となっています。

一方、「X」「G」に搭載される「ダイナミックトルクコントロールAWD」は、前後のトルク配分を「50:50」、左右トルク配分も「50:50」で固定。こちらは、デフの手前に電子制御カップリングを配し、コーナーでの回頭性を高めるとともに、生活ヨンク+アルファの悪路走破性が確保されています。

さらに、ハイブリッド車に設定される最新世代の「E-Four」は、前後トルク配分を「100:0」から「20:80」まで変更可能になっていて、左右のトルク配分は「50:50」。新世代「E-Four」は、リヤの出力を30%高めることで、滑りやすい路面や凍結した登坂路面などでも、より後ろから押してあげることで、発進しやすくなっています。

専用オフロードコースでは、モーグルとヒルクライムで2種類のガソリン4WD、モーグルではE-FOURを含めた3種類の4WDのステアリングを握る機会があり、世界初の新4WDシステムである「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は回頭性とコントロールのしやすさ、「ダイナミックトルクコントロールAWD」でもモーグルを難なくクリアするなど、モノコックボディ由来の4WDとして十分といえる悪路走破性を備えていることを確認できました。

(文/塚田勝弘 写真/前田惠介)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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