三菱の主力1トンピックアップ「トライトン」を舗装路でチェック。ヘビーデューティに耐える頑丈かつ柔軟な仕上がり【バンコク・モーターショー2019】

3月下旬、タイ王国バンコク近郊で開催されたバンコクモーターショーの会場で、三菱自動車の主力1トンピックアップトラック「トライトン」に試乗しました。試乗コースは舗装された広場の特設コースです。

昨年、すでにラフロードでの試乗やキャンバーや急坂の登り下りなどのセクションの体験は行っていましたが、ドライの舗装路面での試乗は初めてとなります。ラフロード試乗では叶わなかった静止状態からのフル加速も試しました。

試乗は空荷状態でしたが、それでもトラクションがしっかりとかかる加速を感じられました。トライトンは2018年のビッグマイナーチェンジでサスペションのショックアブソーバー容量をアップ、リヤのスプリングレートダウンを行っています。発進加速でリヤにしっかりとトラクションがかかるのは、この足まわりのチューニングが効いている印象です。

ダブルレーンチェンジやスラローム走行も安定した走りを示します。なによりもビックリするのが、リヤが空荷な状態であることによる悪影響がないのです。ピックアップトラックは荷物を載せたときの安定性を重視しますので、どうしてもサスペンションが硬くなり、空荷では跳ねるような動きになるのですが、そうしたことは一切ありません。

以前のラフロード試乗でも感じたのですがとにかく乗り心地はいいのです。今回はパジェロスポーツも乗っていますが、パジェロスポーツよりも数段乗り心地はいい印象です。

トライトンは世界150カ国以上で販売される人気モデルです。タイがそのマスター工場となっています。タイで販売されるトライトンはダブルキャブと呼ばれる4ドアモデルとなります。ダブルキャブはその名のとおり、前後シートを備えるモデルです。今でもタイの山岳部ではトラックの荷台に人が乗る習慣がありますが、ダブルキャブとすることで家族は室内に乗れるようになるわけです。

農村部ではトラックは仕事に欠かせないクルマですが、ダブルキャブならば、乗用車としての役割と仕事で使うトラックの両方を1台でこなせるというわけです。

世界各国で実用的なモデルとしてトライトンの実力を肌で感じて思ったのは、まだまだクルマはヘビーデューティな使われ方をする地域がたくさんあるということでした。そして、トライトンのようなクルマを求めている地域がまだまだたくさんあり、それを提供するのがとても大切な仕事であるということでした。

(文:諸星陽一)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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