最新版・Gベクタリングプラスがもたらす効果を雪上走行で実感【マツダ雪上試乗会・その3】

【ステアリングの効きを良くするとクルマの挙動は安定する】

マツダは2019年に発売が予定されているマツダ3を中心とした雪上試乗会を同社の冬季テストコースである剣淵試験場で行われました。今回の試乗会は、マツダ3を評価するものではなくて、雪上という滑りやすい環境を使って、各種技術の確認が大きな目的となりました。

マツダはスカイアクティブ・ビークルダイナミクスの第一弾として2016年にGベクタリングコントロールをアクセラに搭載しました。Gベクタリングコントロールは、エンジンでシャシー性能を高めるという思想です。

ステアリング操作時にエンジンの出力を調整することで、よりステアリングの効きをよくするという機構で、制御はエンジンのみで行われます。

そのGベクタリングコントロールを進化させたシステムが「Gベクタリングコントロールプラス」です。Gベクタリングコントロールプラスは2018年にCX-5の改良型に最初に採用され、新しいマツダ3にも採用予定です。Gベクタリングコントロールプラスは、エンジンの出力制御に加えて、ブレーキの独立制御を加えることでより高い効果が得られるようになりました。さらに4WDモデル場合は駆動力配分までも制御が統合されるので、その効果はさらに大きくなります。

試乗車はFFが用意されました。機能のチェックにはより単純なほうがわかりやすいので、これは歓迎です。まずは、広場のようなところでスラロームを行います。ステアリングを切り込んで行くと、きれいにフロントがインを向いていきますが、この際はエンジンの制御だけなのでほとんど体感はありません。ここからステアリングを戻していく際にブレーキが若干働いてクルマを制御していくことになります。雪の上ではABSも介入してくるのでより体感がしやすいものとなります。

ワインディングを走ると、かなり楽に走れることが確認できます。Gベクタリングコントロールそのものは、クルマをアクティブに走らせる制御ではなく安定性を向上させるものです。コーナーに向かって、アクセルを緩めたりブレーキを踏んだりという操作でドライバーが姿勢を作らなくても、アクセルを一定のままコーナーに入っていくとその違いがよくわかります。

もちろん、姿勢を作れるときは作ってあげたほうがより積極的なドライブとなるのですが、同乗者がいるときなど、できる限り前後Gを発生させずに運転したいときには非常に有効です。編集長のドライブで後席に乗ってみましたが、後席では余分な動きがなく快適さを感じることができました。

(文・諸星陽一/写真・小林 和久)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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