井出有治さん待望メガーヌR.S. カップの6MTは、あえてラフに扱っても感触はマイルドだった!その3【動画】

【エンジンパワー、6MT、シャシーカップのフットワーク…そのすべてのセッティングが絶妙!】

2016〜2017年にかけ、旧モデルのメガーヌ ルノー・スポールのマニュアルを愛車にしていたレーシングドライバー&clicccarテストドライバーの井出有治さん。今回100台限定でリリースされる「メガーヌ ルノー・スポール カップ」(以下R.S. カップ)もマニュアル。井出さんほどR.S. カップのテスターにピッタリなドライバーはいないでしょう!

また2002年、井出さんは「フランスFormula3選手権シリーズ」にSignature(シグネチャー)から参戦、シリーズ7位になった経験があり、フランス車、特にルノーのクルマは渡仏中レンタカーとして乗っていたりと馴染み深いのだそうです。「ルノーの車内に漂うフランス車独自の香りが、フランスF3時代を思い出させてくれるんです」(井出さん)。

その1ではR.S.のおさらいを、その2ではシャシーカップを中心にインプレッション。今回その3ではエンジン、そしてお気に入りポイントでもあるミッション、タイヤなどに付いて聞いてみましょう。当日早朝までは雨…午後の試乗時にようやくハーフウェットとなった千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイにコースイン!

■ボールベアリング式ターボ搭載でレスポンスもアップ

井出さんの元愛車、旧モデルのR.S.は2Lターボ、今回のR.S. カップは1.8Lターボ。200ccダウンサイジングされています。しかし、パワー&トルク的には旧R.S.が265ps/36.7kgm(※井出さんが乗っていたモデルデータ)に対し、R.S. カップは279ps/39.8kgm。ダウンサイジングされてもパワー&トルク的には上がっています。

「排気量の差はあまり感じなかったし、気にもなりませんでした。まぁエンジン型式も変わっているし、コレと比較すると旧型が可哀想! でもね、パワーはこれくらいがちょうどいいです。乗って気持ちいいクルマっていうのはシャシーやエンジンパワー、もちろんタイヤも含めたトータルでのバランスが大切なんです。これ以上パワーがあってもコントロールしにくくなりますからね」(井出さん)。

旧モデルと新モデル、ともにターボエンジンですが、新R.S.からはボールベアリング式ターボ(三菱製)が使用されています。タービンの軸受けをメタルフローからボールベアリングにしたことで「ターボラグは感じられない」という井出さんのインプレッションどおり、高レスポンスが引き出されているのでしょう。

■シフトチェンジもスムーズ! やっぱりボクはマニュアル派!(井出有治)

井出さん、何が気になってR.S. カップに試乗したかったのか?というと、2018年にリリースされた現行メガーヌR.S.で初のマニュアルだから、というのが一番の理由です。

「6MTのフィールですけど、旧モデルに比べクラッチを切って2速から3速に入れるとき、若干R.S. カップのほうがマイルドな感じになっていました。そこの部分だけで言うと、サーキットでの尖った感じというよりも乗り心地、扱いやすさ…そういうところも考えてセッティングしたのかな?って思いました。ミッション自体はギヤ比を旧モデルから少々変えた以外は変更していないとのことですが、シフトをわざとラフにバーンとつないでみても、旧モデルよりもスムーズでしたね。そのへんは各パーツのセッティングで改善されているのでしょう」(井出さん)。

ミッションのフィーリング、これもルノーのコンセプト「乗りやすいスポーツカー・セッティング」のひとつなのでしょう。

「シフトアップしてクラッチをドン!とつないだとき、旧モデルはじゃじゃ馬感があってステアリングが多少もっていかれるような、そんな傾向もあったんですけれど、今回のR.S. カップはそれもなく、結構ラフにつないでも変速ショックなどもなかったです。ラフに乗ってもクルマがキチンとそういうところを吸収して、心地よい走りを感じさせてくれるクルマにしているのでしょうね」(井出さん)。

井出さん、本当にお気に入りのようでメインストレート3本のみの試乗では物足りないようです!

しかし、ここはちょっと…という不満なトコロはないのでしょうか?

「あえてネガティブなことを探してみると、ミッションをつないだ時の感じはいいんですけど、ゲートに入るところはもうちょっと分かりやすいほうがいいかな? 例えば2→3速の場合。レバーがバネによりHパターンの真中に戻って、そこから3速に押す…。ここのところがもうちょっとシャープにゲートに入る方がボクは好みです。手のフィーリングだけだとほんのちょっと分かりにくいかなぁ〜。もちろん、シフトミスするようなレベルじゃないですけどね」(井出さん)。

「そうそう! マルチセンス(走行モード)をレースにするとレブポイント=シフトアップポイントが上がったんです。何回転上がっているのか数字を見ようと思ったんですけど、レースモードはメーター部分がレーシングカーみたいなバー表示になるので数字が出ない! 多分、300rpmくらい上がっているんじゃないかな?」(井出さん)

試乗後、スタッフの方に確認したところ…ちょっと言葉を濁しながらも「数百回転上げてます」って! 多分、300rpmくらいでしょう!!

【新・旧MTギヤ比 比較】 ※旧モデルデータは、井出さんの所有されていた型と同じ2014年リリース時のものです。

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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