降雪地域でもドライ路面の走行性能は重要。レガシィアウトバックで山形市内から肘折温泉へ【スバル雪上試乗会・その2】

●スバルが降雪地域で受け入れられる理由を深掘りする

山形県で行われたスバルの雪上試乗会では「なぜスバル車が寒冷地で高い評価を受けているか?」を探りました。最初の行程は山形市内から肘折温泉までの道のり、相棒はレガシィアウトバックの特別仕様車・Xアドバンスでした。

レガシィアウトバックは2.5リットルの水平対向4気筒エンジンを搭載します。最高出力は175馬力、最大トルクは235Nmです。燃料がレギュラーガソリンというところもユーザーにとってはうれしいところです。駆動方式はもちろんAWDです。アウトバックに採用されているAWDはアクティブトルクスプリットAWDと呼ばれるものです。ミッションはCVTを採用しています。

山形市内の道路はほとんど雪がなく、ドライと言ってもいいような状況です。アクティブトルクスプリットAWDは前後トルク配分が60対40を基本にして100対0から50対50までを変化させます。ドライに近い路面ではクルマの動きには何の違和感もありませんし、4WDのネガティブな感じは受けません。

こうした路面でなにも考えることなく乗れてしまうことが日本の降雪地では必要です。雪深い山形とはいえ、市内では雪がないこともあるわけですし、夏には海水浴だってできるくらいに気温も海水温も上がるのです。

真っ直ぐに肘折温泉に向かうのではなく、撮影をかねて蔵王のスキー場に向かってステアリングを切りました。山形市内から蔵王への道は道幅が狭いところも多いのですが、アウトバックは見切りがよく狭い道でも運転がしやすいと感じます。なによりも普通のワゴンよりも車高が高いことが運転を楽にしてくれます。SUVほど車高が高いと、ロール量なども関係してきて車高が高いことが若干の不安感を誘うことがありますが、アウトバックの車高はちょうどいい高さと言えるのです。

アウトバックには走りを安定させるための機能としてVDC(ビークルダイナミクスコントロール)とアクティブ・トルク・ベクタリングが装備されます。VDCはエンジン出力とAWDのトルク配分を制御してアンダーステアやオーバーステアを防止、アクティブ・トルク・ベクタリングはアンダーステア傾向が強いときにフロント内側にブレーキをかけてクルマを内側に向ける機構です。撮影場所として提供された広場でステアリングを切った状態でアクセルを開けていくと安定した挙動を示してくれます。さらにXモードをオンにしておけば、タイヤの空転を最小限に抑えてくれるほか、下り坂で速度を抑制してくれるヒルディセントコントロールも作動します。

雪が降る中アイサイトを使ってみました。カメラ式にしろ、レーダー式にしろ、雪はACCの大敵とされていますが、意外なほどに普通に作動していました。もちろんどこまで影響するのかは条件によって異なるでしょうが、ワイパーは低速側で常時使用、ときどき目をこらすようにして前方を確認するような状況でも、きちんと作動し続けたのにはちょっとびっくりでした。

次回は肘折温泉から鶴岡経由、庄内空港までをフォレスターで走ります。

(文・諸星陽一/写真・前田恵介)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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