1986のゼロヨン模様。雨宮7にチョロQ・Z、超えろ10秒の壁!その3【OPTION 1986年1月号より】

1986年当時のOPTION誌で盛り上がっていたゼロヨン界をおっかけ「目指せ9秒台!! 1986年ゼロヨン極限トライアル、トップタイムはタカハシタイヤ・コルベット・その1【OPTION 1986年1月号より】」、そして「目指せゼロヨン10秒の壁突破! 「オートセレクトS30Z」さすがの実力11秒台!その2【OPTION 1986年1月号より】」の2回からちょ~っと時を経てしまい・・・申し訳ない(焦)。

今回のその3からはこの日の3位以下のマシンをドンドンと紹介していきましょう。

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200km/hオーバーでホイールスピン! 驚異のパワーでF1用(を凌ぐ)タイロッドエンドが破損
<柿本ドラッグZ> L型3098ccツインターボ/11秒40

●アクセル全開に出来んかったのが残念や

ドライバー:柿本 由行

いつものDRAGだとスタートの時なんかタコメーターなんか見てへん。アクセル全開とエンジン音で判断しとるのやね。シフトアップは9000rpm。上手くいったか失敗したかは400m地点のエンジン回転数で分かります。今までやってきたメカチューンのエンジンだと、ゴール地点で1/100秒単位でタイムが当たりますわ。

今回はターボチューンで目標の800ps近くはいったと思うんやけど、パワーに負けて、とにかくアクセルが踏めんのですわ。11秒40というタイムもハーフスロットルでマシンをコントロールしながらのやつで、これからは足まわりのセッティングが急務ですわ。タイヤ径大きくすれば駆動系の負担がおおきくなるしでパーツ探しが大変や。

メカチューンのマシンはコントロールがわりに簡単やけど、ターボチューンのマシンは難しいでっせ。オーバー200km/hでホイールスピンするのは快感やけど、いつ飛んでいってまうか分かりませんからね。万が一のトラブルの時は、とにかく焦らず安全に止まることだけを考えてますわ。

●メカニズムチェック

柿本レーシングはメカチューンから一新してターボでトライしてきた。ベースのL28エンジンは従来のメカチューン同様、ボア・ストロークは89×83mm、総排気量を3096ccにアップ。が、ピストンは高出力にも十分耐えるようオリジナル製作されたマーレー製SPL鍛造を使用。クランクシャフトはLD28、コンロッドはL14を使用し、バランス取りとタフト処理がされ、圧縮比は7.0に設定。

 

ヘッド関係はオリジナルの320度の作用角と9mmのリフト量を持つカムシャフト、IN46、EX38φのビッグバルブが組み込まれている。

タービンはKKK製K26タービンをツイン装備。エキゾーストマニホールドは排気効率を考慮したオリジナルのステンレス製で、ウエイストゲートはシグマ製タイプCを使用。吸気系はキャブレターを使わずD-FiTを改造。それらのチューンによりパワーバンドは4500~9000rpm最高出力は750ps以上を絞り出している。

ファイナルはマル秘だがミッションは240Z用、クラッチはボーグ&ベッグを使用。サスペンションは有効なトラクションをかせぐためにトレーリングアーム式に変更。アーム類はピロボール式だ。

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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