【アルファ ロメオ・ステルヴィオ試乗】雪上でも元気! FR中心の特性を持つ4WDで、アルファ ロメオらしい走り

●SUVを作るのは初めてでもスポーツカー作りの経験は100年以上。アルファロメオらしいSUV

アルファ ロメオ・ステルヴィオに雪上で乗る機会を得ました。試乗したのは「2.0ターボ Q4ラグジュアリーパッケージ」(691万円)と「ファーストエディション」(689万円)の2台。

駆動方式は「Q4オンデマンド式4輪駆動システム」と呼ばれるフルタイム4駆。ボディサイズは全長4690mm・全幅1905mm・全高1680mmとなり、車重は1810kgです。

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーンでリヤがマルチリンクとなります。搭載しているエンジンは直噴4気筒ターボ(1995cc)で最高出力は280ps/5250rpm・最大トルクは40.8kgm/2250rpm。ZF製の8速ATと組み合わされます。

電動で開閉するバックドアを開けて現れるラゲッジルームは、最大で525Lの大容量を確保しています。分割可倒式リヤシートを採用しているので自在にアレンジができますが、後席を立てた状態でも荷室の容量は十分です。

リヤシートまわりの空間も十分以上に確保されており、全長4.7m未満のFR系プラットフォームで、この余裕あるスペースは立派だと思います。

フロントシートに座って目につくのはとてもSUVとは思えない「まんまスポーツカー」のアルファ ロメオらしいインパネです。

ステアリングにはエンジン・スタート&ストップボタンが仕込まれています。

センターコンソールにあるダイヤルによって走行モードを可変させることが可能です。「D・N・A」という3種類のモードが用意されています。

Dはダイナミック。よりスポーティな走りをする際に選択します。

Nはナチュラル。市街地から高速道路まで対応した一般的に選択するものです。

Aはアドバンスドエフィシェンシー。燃費に特化したモードとなります。

実際に雪上コースで走ってみます。

直噴4気筒ターボは低回転から強いトルクを発生させるため運転しやすく、かつ明確に速いです。そして何より野太いエキゾーストノートが室内にも響いてきて愉快。

路面ミューの低い雪上でのステルヴィオは、電子制御が効きまくったSUVにありがちなひたすらに安定という方向ではありません。

「あ、これはFRベースだった!」ということが明確にわかるような味付けになっているのがアルファ ロメオらしさ。コーナーでちょっと多めにアクセルを踏んでしまうとリヤが外側へ張り出そうとする挙動を見せます。

もちろんそのままトラクションが抜けてスリップしてしまうようなことはないのですが、「いつでもガンガン行けまっせ」という、若い印象を与えます。

これはステルヴィオに採用されているQ4システムが、基本的には後輪に100%のトルクを伝えておき、トラクションが抜けた時だけ最大で50%までフロントへ駆動力を伝えるという、FR中心の特性を持っているからです。ドライブシャフトをカーボンファイバー製としたり、ボディ外板の多くをアルミ製に置換していたりと軽量化に努めていることも、この敏捷性高い走りにつながっています。

アルファ ロメオがSUVを作るのはこれが初めてですが、スポーツカー作りの経験は100年以上だということがわかる、運転の面白いクルマでした。

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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