【ホンダCR-Vハイブリッド試乗記】オデッセイ以上に「EV度」が向上。高速域の気持ちよさも上

●車重の軽さがフットワークの良さを引き出すCR-Vハイブリッド

2.0L直列4気筒エンジンに、2モーターを組み合わせるホンダCR-V。シリーズハイブリッドで同社では「i-MMD」を名乗ります。モーター走行主体を狙い、走行用、駆動用モーターの2つを搭載するシステムは、アコードやオデッセイ、ステップワゴンでもお馴染みです。

さらにCR-Vには、高速クルージング時にエンジンの出力軸を車輪へ直結するエンジン直結クラッチを搭載。高効率なアトキンソンサイクルで燃費向上も図っているほか、逆に、全開する必要がある際などは、同クラッチにより、エンジンの実力を出し切ることも可能です。

そのエンジンは107kW(145ps)/175Nm、モーターは135kW(184ps)/315Nmというスペックで、オデッセイと同じ。1820kg〜1890kgというオデッセイに対して、CR-Vは1610kg〜1700kgと約200kgも軽くなっています。

大人3人分ほどの重量差がありますから、CR-Vはモーター走行の頻度が多く、バッテリーの残量次第ではあるものの、街中ではEV走行でまかなえるシーンが増えています。

高速道路にステージを移すと、エンジン主体になるシーンが増加。頻繁に発電することで、蓄電された電気を使ってモーターがアシストするなど、制御が頻繁に切り替わっているのが分かります。バッテリー容量が少ないため、下り坂ですぐに電池がいっぱいになります。

急な登り勾配でも、エンジンとモーターアシストによりグイグイと加速。「3.0Lエンジン並」を謳う動力性能は伊達ではありません。また、エンジンが始動しても音・振動ともに非常に抑えられていて、パワートレーンのスムーズさ、マナーの良さも印象的です。

乗り心地はガソリン仕様と比べると、電動化車両らしい腰の重さ、重心の低さがあるものの、新型CR-Vの美点であるフラットライド感は健在。タイヤはブリヂストンの「ブリザックDM-V2」というスタッドレスを履いていましたが、高速道路でも流れに乗る分にはロードフォールディング性能にも不満はありませんでした。さらに、オデッセイほどの重厚感はなく、200kg軽い分、乗り味とフットワークのバランスに秀でているのも魅力といえそう。

また、CR-Vでは、デュアルピニオン可変ギアレシオEPSを採用していて、操舵レスポンスの向上を図ったとしています。美点であるハンドリングの良さに、直進安定性の高さも加わればより高い完成度になるはずです。

(文/写真 塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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