スタッドレスタイヤ車もチェーン装着義務の13カ所が発表された。酷い話です

■スタッドレス装着車にチェーンを装着の義務化へ

・チェーン装着義務の13カ所を発表

「大雪時はスタッドレスタイヤ車でもチェーンを装着していなければ通行禁止」となる13区間が発表された。

例えば中央道の須玉~長坂だけれど、大雪警報出ている積雪時に走ったことがある。FF+スタッドレスタイヤで何ら問題無かった。相当の大雪降ったとしても、頻繁に除雪すれば対応可能だと思う。この区間、2車線+登坂車線のため除雪した雪を登坂車線に寄せられるからだ。

上信越道(長野県・信濃町IC~新潟県・新井PAの25キロ)中央道(山梨県の須玉IC~長坂ICの9キロ)
中央道(長野県の飯田山本IC~園原ICの10キロ)
北陸道(福井県・丸岡IC~石川県・加賀ICの18キロ)
北陸道(滋賀県・木之本IC~福井県・今庄ICの45キロ)
米子道(岡山県・湯原IC~鳥取県・江府ICの34キロ)
浜田道(広島県・大朝IC~島根県・旭ICの27キロ)

国道112号(山形県西川町志津~鶴岡市上名川の27キロ)
国道138号(山梨県山中湖村平野~静岡県小山町須走字御登口の9キロ)
国道7号(新潟県村上市大須戸~村上市上大鳥の16キロ)
国道8号(福井県あわら市熊坂~あわら市笹岡の4キロ)
国道54号(広島県三次市布野町上布野~島根県飯南町上赤名の12キロ)
国道56号(愛媛県西予市宇和町~大洲市松尾の7キロ)

・チェーン装着の意味はあるのか?

そもそも今年1月に首都高の環状トンネル内で発生した首都高史上最悪となる10時間に渡る通行止め状態を招いた先頭は、トレーラーが新宿ジャンクションの登り8%勾配でスリップしたためである。このトレーラー、スタッドレスタイヤにチェーン装着してあった。この一例を持ってしても、チェーンさえ装着したらスリップしなくなるかといえば、明らかにNoだ。

トラックの場合、後輪1軸ならダブルタイヤになっている。外側輪だけにチェーンを巻くと、外側輪に荷重が集中してしまい危険。その上、駆動力も外側輪にしか掛からなくなってしまう。内側輪にもチェーンを巻けば良いのだけれど、視界の聞かない大雪警報の雪の中での着装は大変な作業になってしまう。中央道という大動脈がチェーン規制のため大渋滞するようになったら本末転倒だ。

加えてチェーン無し車両の通行禁止措置は、一番性能の低いトラック+スタッドレスタイヤ+ドライバーの技量を考慮したものだと考える。現実をみると、少なからぬ運送会社が燃費やペイロード(荷物搭載量)を犠牲にしてまで雪道走行を得意とする6×4(後輪2軸駆動。普通は後輪1軸駆動)を降雪地域で運用している。乗用車だって2輪駆動車と4輪駆動車は圧倒的に走破性能が違う。

チェーンを装着した2輪駆動乗用車と、高い性能持つスタッドレスタイヤ履く4輪駆動乗用車を比べたら、圧倒的に後者の方が優れた降雪時の登坂性能を持つ。といったことを考えると、全車チェーン装着義務で無く、2輪駆動車(トラックなら1軸駆動車)のみチェーン着装義務にしたらいい。規制方法は簡単だ。事前に指示標識を出し、条件違反でスタックしたら厳格に取り締まればいいだろう。

ちなみにミラーバーンと呼ばれるアイスバーンではチェーンの駆動力が勝るものの、今回の規制はあくまで大雪時。総合的に考えれば、荷物を運ぶプロドライバーにとって大きな負担増になると思う。だからこそ皆さん反対している。

国沢 光宏