「WRC候補地になりましたが、新城ラリーは続けます」5万人超が詰め掛けるラリーイベントの観戦レポート

11月3日4日に愛知県新城市で開催された全日本ラリー選手権第10戦 新城ラリー。

これまで回数を重ねること15回。初期には競技車両がリアゾンでにSSに出かけたり、来場者のためにグランドでラリーカーのデモンストレーションランを行っていた手作り感溢れたイベントは、WRCの開催候補地となっただけでなく、今年は日曜日の天気予報が雨にもかかわらず5万4千人が訪れた愛知県東部の秋の風物詩ともなりました。

このイベントは産官民が一体となって盛り上げています。愛知県内のトヨタ自動車関連企業は勿論のこと、新城市内に工場を持つ横浜ゴムや三菱自動車も観客移動用のバスを始め、多くの協力をしています。

また、愛知県は大村知事が都合の許す限り視察(そして、ラリーカーに乗せられ…)地元国会議員の方も足を運ばれます。以前WRCを開催していた北海道では、道知事・札幌市長は開閉会時に姿を見せず、残念な気分でした。

また、15年目を迎えた今年は、地元を中心に3000人を超えるボランティアがこのイベントを支えています。

イベントの中心、新城総合公園にはサービスパークとHQ(本部)が置かれます。新城ラリーでは駐車場代はかかりますが、入場料観戦料はかかりません。

公園外ではSS観戦は鬼久保ふれあい広場のみ観戦可能。ですが、ラリー観戦もう一つの楽しみ「リエゾン観戦」はこのふれあい広場の近く、道の駅「つくで手作り村」がお奨めです。今回リエゾン観戦には1度しか行けませんでしたが、まだまだ見どころがありそうです。

サービスパークはラリーカーの整備やセッティング変更を行う場所で、サーキットレースのピットやパドックにあたりますが、こちらも見学可能です。競技中は自動車優先なのと、整備の時間も分刻みで作業していますので、迷惑にならないように安全な場所から見学しましょう。ドライバー・コドライバーのサインや写真が欲しい時は競技終了時にココに行くのがお勧めです。

また、今年も新城総合公園内にSSが設定されました。550mとちょっと短か目ですが、正式な競技の一部ですからラリーカーの迫力ある走行を間近に見る事が出来ます。芝生エリアの外側を囲む舗装路を競技車両が本気でアタックします。(注:モータースポーツは危険が伴うスポーツです。観戦者も油断し過ぎず観戦する心構えが必要です)

また、競技車や同車のクルーを紹介するセレモニアルスタート/完走者を讃えるセレモニアルフィニッシュもこちらで行われます。



最大の見どころはこのコースを疾走する車ですが、常時ラリーカーを始めとしたデモランが行なわれている訳でもない…。そんな時間も楽しくイベントステージ、企業PRブース、地元の名産品も並ぶ飲食ブースがゾーンごとに展開されています。

GAZOO RacingブースではGRの車両展示に加え、ヤリスWRCのRCカー走行体験や、オリジナル缶バッジの作成、ヤリスWRCのモデル作成。これがタイヤはスポンジで、折り紙式の組み立てなのにオトナもグっとくるディティールに並んで貰いたいな〜と思いましたが、常に長蛇の列で撃沈。他にも色々アトラクションが用意され、家族連れも楽しめます。


また、従来は往年のラリーで活躍したヒストリックカーが展示される事が多かったのですが、今年は近年の車両に絞ったようで、未来志向を感じました。その中でも、圧倒的一番人気は「ヤリスWRC」。現行仕様に割と近いようですが、今回はグラベル仕様の脚回りにターマック用タイヤを履いている様でした。

メイン会場の新城総合公園では土曜日は日没直後までSSが開催されました。日曜日はセレモニアルフィニッシュの途中で雨が降り始めましたが、ヤリスWRCのデモ走行が予定されていたので、多くのお客さんが残られました。

閉会式には主催者・来賓がデモラン会場から皆徒歩でステージに向かうといったおおらかな光景も見られました。

閉会式の際、実行委員長の勝田輝夫氏より「よく”新城ラリーはWRC(=ラリージャパン)になっちゃうの?”と聞かれますが、新城ラリーは新城ラリー(全日本戦)として継続します!」との言葉がありました。WRCと従来の全日本選手権は別なラリーとして併催していくとのことです。

WRCに昇格すると車両規定(JAF規格からFIA規格へ)の変更が求められたり、エントリーフィーも違います。今回の新城ラリーでは参加料は10万円/台(HPの特別規則書より)に加え、サービスパークでの利用スペース追加等で若干増えますが、WRCではこれも跳ね上がります(オーストラリアラリーで非WRCクラスは約20万円(主催者指定広告を貼る場合)+α) 。こちらも参加者や今までの新城ラリーを楽しんで来た観戦者には嬉しい宣言でした。

(川崎BASE)