【スーパー耐久2018】チャンピオン獲得でも手抜きなし!ST-TCRはModulo CIVIC TCRが優勝!

11月4日、快晴の岡山国際サーキットで13時38分頃にスタートが切られた、ピレリスーパー耐久最終戦の岡山ラウンドGr.1レース。

ST-TCRクラスは、すでに前戦もてぎでチャンピオンを獲得したModulo CIVIC TCRが、この岡山戦で優勝を果たしました。

これまでの5戦での成績によりウェイトハンデを課せられているため、予選では不利なModulo CIVIC TCR。このため予選ではライバルのAUDI RS3 LMS勢がベスト3までを独占することとなりましたが、いざレースが始まれば中野信治選手が絶妙なスタートで予選3位だったL&JR Mars Audi RS3 LMSを抜き3位に浮上します。

41周目に最初のピットインで植松忠雄選手に託されます。ライバル全車が1回目のピットインを終えた段階で3位にポジションを戻します。

そして植松選手から大津弘樹選手への交代は66周目。ライバルは70周から80周前後での交代となっており、Modulo CIVIC TCRはかなり早いタイミングでの交代となります。しかし早めのピットインによりライバルがピットインするたびに順位が上がっていき終盤に差し掛かる頃にはトップへ浮上。2位以下に50秒以上も差をつけていったのです。

そして3時間後のフィニッシュ!最終的に2位との差は51秒283という大量リードでの優勝を果たします。このフィニッシュの瞬間、植松選手は感動のあまり号泣! 熱中症で救急搬送されるような状態になっても順位を上げていったオートポリス戦など、これまでの苦労が脳裏をよぎったのではないでしょうか。

開幕の鈴鹿、第2戦のSUGOと優勝を飾り、富士24時間では2位となったModulo CIVIC TCR。SUGO以降は表彰台には登るも優勝は無く、第5戦もてぎではポイントでシリーズチャンピオンを決めたものの同門のFLORAL CIVIC TCRと優勝回数は同じ2回。チャンピオンの誇示として優勝回数も一番多くなくてはならないというチーム全体の共通意識があったとのこと。

「チャンピオンも嬉しいが、チャンピオンを獲得したシーズンを優勝で締めくくれたことが本当に嬉しい」と、感動の涙の中で植松選手は語ります。

そして「チーム全体がいい仕事をした」と中野選手が語ります。その中でもマシンをトップに押し上げた大津選手の最終スティントは特筆だったのではないでしょうか。

本来スプリントレース用に開発されているTCRマシン。このスーパー耐久はそんなTCRマシンが活躍する世界で唯一の耐久レース。その唯一無二のTCRによる耐久レースのチャンピオン獲得をすでに決めておきながらも優勝で締めくくったModulo CIVIC TCRは一切の手抜きなし、妥協無しでレースに臨んだからこそなしえた偉業と言えます。

そして昨年に引き続き2年連続のチャンピオンマシンとなったHONDA CIVIC TCRは来年も絶対に活躍してくれることでしょう。

今年は鈴鹿サーキットで世界ツーリングカーカップとしてTCR規格のマシンが覇を競いました。また来年2019年シーズンはいよいよTCRマシンによるスプリントレースシリーズが国内でも開催されます。TCR規格のマシンにもいっそう注目が集まることでしょう。

余談ですが、11月8日にお誕生日を迎える小林崇志選手のお誕生日祝いが11月4日のピットウォークで行われました。こういったイベントを見ることができるのもサーキット観戦の醍醐味と言えるでしょう。

(写真・文:松永和浩)

この記事の著者

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松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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