【エクストレイル・ハイブリッド試乗】モデル末期といえど、国産SUVのベンチマークとして未だに戦える理由とは?

現行エクストレイルが登場したのは2012年、ハイブリッドが追加されたのは2016年、既にモデル末期に近づいているともいえる、エクストレイルのハイブリッド仕様に試乗する機会を得ました。

「なぜこのタイミングでエクストレイルなの?」と疑問を抱かれる方もいらっしゃるかもしれません。

このエクストレイルは、2018年上半期のSUV 4WD販売台数でNO.1(自販連区分オフロード4WDの国産車)という、現時点で輝かしい成績を収めています。また、スバルフォレスター、ホンダCR-Vなど、SUV+ハイブリッドシステムを搭載したライバル車の新型が出そろってきたこのタイミングで、次期型エクストレイルの姿を想像してみたい、というのが動機でした。

元某メーカーのシャシーエンジニアの端くれだった筆者が、今回も忖度せず、正直にご紹介していきます。

今回の試乗車は「エクストレイル20X HYBRID 4WD」(車両本体 税込309万8,520円)。これにメーカーオプションでアラウンドビューモニター、インテリジェントパーキングアシスト、サイドエアバッグ、ルーフレールを含む73万円分の装備を追加した仕様です。

対して、スバルフォレスターAdvance(2.0Lガソリン+モーター) 税込309万9600円(※2.5Lガソリン車は税込280万8000円〜302万4000円)、ホンダCR-Vハイブリッドは税込378万4320円〜436万1040円(※1.5Lガソリン車は税込323万280円〜403万560円)です。

エクストレイルは70万円ほど高いCR-V相手だと価格的には競合しませんが、フォレスターとはコスト同等ですので、モデル末期といえど魅力的といえます。逆に、次期型エクストレイルには「現フォレスターよりも価格は上げられない」、といった価格戦略になりうるのが推測できます。

エクストレイルバイブリッドに搭載されるパワートレインは2.0Lガソリンエンジン(最高出力147馬力&最大トルク21.1kgm)+モーター(41馬力)の組み合わせです。気になる燃費は、2WDで20.8km/L(JC08モード)、4WDでは20.0km/Lを達成。

対するフォレスターハイブリッド(e-BOXER)は18.6km/L(JC08)、CR-V 4WDハイブリッドは25.0km/L(JC08)。マイルドハイブリッドであるフォレスターのe-BOXERに対して、現行エクストレイルは負けてはいませんが、次期型エクストレイルの燃費値は、当然、国産SUVハイブリッドTOPレベルの燃費を狙ってくるものと考えられます。

エクストレイルハイブリッドには2.0Lエンジンが搭載されているとはいえ、大型で重たいSUVボディですから、ゼロスタートする瞬間にモーターアシストがなされることで、動き出しは実にスムーズに余裕を持って発進ができます。大柄で重たいボディになるほどモーターアシストは活きてきます。スバルフォレスターのe-BOXERはマイルドハイブリッドですが、最も必要なタイミングで強力なアシストが得られるのでしたら、一つの有効な選択肢ではあります。

【良いところ・1】自然なドライビングポジション

大きめなドアを開けてシートに座り込んですぐに分かるのは、ドライバーシートの作りの良さです。左右の脇腹あたりのサポートは比較的ゆったりしており、窮屈な印象は受けません。

また、座面を上下や前後に動かした際の調節量も十分に取られており、ステアリング調節機構も、チルトに加えてテレスコピックも搭載しています。身体が小さめな方から大きめな方まで、丁度良い好みのドライビングポジションをとることが可能です。SUVの背高な視界と相まって、座った瞬間に、運転がとても快適にできるとイメージできます。

【良いところ・2】オールマイティな室内の使い勝手

リアシートは6:4分割可倒式で、倒せば広大な荷室エリアが作れます。シート表皮は防水加工が施されており、ウィンタースポーツ、マリンスポーツ、キャンプなど、あらゆるアウトドアシーンのギアをそのまま搭載できるよう、考えられています。

運転席と助手席の間にあるセンターコンソールにあるカップホルダーには送風口があり、エアコンの風を送ることができます。エアコンの温度設定に応じて作動するため、真冬の暖房使用時にドリンクを冷やすことはできません。送風を遮断するカバーもついていますので、そのままドリンクホルダーとして使うことも出来ますし、鍵入れや小物入れとしても使えます。

前編では、筆者がよく感じた点を挙げていきました。ここまで完璧に思えるエクストレイルHYBRIDにあった弱点は後編にてご紹介します。

(文/写真:吉川 賢一)

この記事の著者

Kenichi.Yoshikawa 近影

Kenichi.Yoshikawa

日産自動車にて11年間、操縦安定性-乗り心地の性能開発を担当。スカイラインやフーガ等のFR高級車の開発に従事。車の「本音と建前」を情報発信し、「自動車業界へ貢献していきたい」と考え、2016年に独立を決意。
現在は、車に関する「面白くて興味深い」記事作成や、「エンジニア視点での本音の車評価」の動画作成もこなしながら、モータージャーナリストへのキャリアを目指している。
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