【ネオ・クラシックカー・グッドデザイン太鼓判:番外編】新型クラウン登場。いま、歴代クラウンのデザインを振り返る!(6代目)

80〜90年代の日本車デザインを振り返る本シリーズ。今年6月、15代目のクラウンが登場したのを機に、番外編として歴代クラウンのデザインを振り返ります。

行き過ぎた表現で苦戦した先代の反動から、大きく時代に逆行した5代目。しかし、80年代を目前に相応の進化が求められる中、日本の高級車のあり方を模索しつつ、1979年に登場したのが6代目クラウンです。

基本は先代に準じた直線基調ながら、4代目カローラ同様に面質は整理された新世代のデザイン。そうして比較的シンプルとなったボディは、大型ウレタンバンパーとの組み合わせで80年代に耐えうる佇まいを獲得しました。

フォーマルな角目4灯のセダンに対し、4ドアハードトップは横長の2灯でシンプルな顔を作ります。ここからリアに流れる「サイドストレートライン」は、深い彫りでボディに立体感を生み出し、さらに低いベルトラインが安定感を演出。

このハードトップはピラーを隠すことで広いガラス面を作り、これと比較的スリムなボディとの組み合わせが、以降のクラウンの独自様式となりました。また、スラントしたリアの大型横長ランプもまたクラウンならではの表情へ。

インテリアは「日本人の美意識」をテーマに重厚さを追求。重層的で大型のコクピットはどこか日本の家具を思わせるもので、広い木目調パネルを使った内張りや、シックな色調のテキスタイルもまた和を想起させます。

「日本の薫り」のキャッチコピーは、先代までの伝統と80年代の新しさの調和を目指したもの。結果、アメリカンな雰囲気の残る直線ボディの中に、クラウンらしさの突端を見つけたようです。

●主要諸元 クラウン・4ドアHT 2800ロイヤルサルーン(4フロアAT)
形式 E-MS112
全長4860mm×全幅1715mm×全高1410mm
車両重量 1490kg
ホイールベース 2690mm
エンジン 2759cc 直列6気筒OHC
出力 145ps/5000rpm 21.5kg-m/4000rpm

(すぎもと たかよし)

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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