ディーゼル+4WDは無敵! フォルクスワーゲン・ティグアン TDI 4モーションで「ちょっと網走まで」

これまで前輪駆動だけをラインナップし、都市型SUVのイメージが強かったフォルクスワーゲン ティグアン。今回、ディーゼルエンジンの4WDモデル「TDI 4モーション」が追加され、タフなイメージがぐっと強まりました。このTDI 4モーションで東京〜北海道を走る機会をいただいたので、ロングドライブの印象をお届けします。

台風一過で大混乱の東京。品川を出発し、新宿で立ち往生した平野カメラマンを拾って長旅の始まりです。ひとまず福島県浪江町の仮設商店街「まち・なみ・まるしぇ」を中継地点に決めて、常磐道を目指します。

 

●ロングドライブにうってつけのディーゼルエンジン

お借りしたティグアンTDI 4モーションは、アクティブ・インフォ・ディスプレイやフォルクスワーゲン・カーネットが備わるハイライン。さらにオプションのパノラマスライディングルーフ(151,200円)やレザーシートパッケージ(280,800円)、ダンパー減衰力やパワステ特性を統合制御するDCCパッケージ(216,000円)をおごった贅沢な仕様です。

 

高速道路に乗り入れてすぐさま感じるのは「ディーゼルエンジンってほんと長距離ドライブにぴったりだなあ」ということ。わずかにアクセルを踏んでいるだけで粛々とトルクを生み出し、時折遅いクルマに遭遇しても、右足をほんの少し踏み込むだけで必要な加速が得られます。ガソリンエンジンのようなあくせくする感じがありません。

TDI 4モーションに積まれたEA288型エンジンは、2系統のEGR(排気再循環)にSCR(選択触媒還元)システム、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)などを備えた新世代コモンレールディーゼルで、150ps/34.7kgmを発生。低いギアでスロットルを踏み込むとディーゼルらしいサウンドを奏でますが、7速DSGが5速以上に入ってしまえば、もはや気になりません。振動がしっかり抑えられている点も評価できます。

●多彩な運転モードが選べるアクティブコントロール

常磐道を浪江ICで降りて無事「まち・なみ・まるしぇ」に到着。楽しみにしていた「なみえ太麺焼きそば」がまさかの完売で落胆しましたが、活きのいい海鮮丼を食べて元気を補充、再び北に向かいます。

 

TDI 4モーションには、センターコンソールのダイアルを回すことでドライビングモードが変更できるアクティブコントロールが備わっています。オンロードでは「エコ」「コンフォート」「ノーマル」「スポーツ」「カスタム」が選べますが、今回はもっぱらコンフォートが活躍しました(コンフォートはDCCパッケージ装着車のみ選択可能)。ダンパーが路面の継ぎ目をやさしくいなすタッチとなり、同時にパワステの操舵フィールやDSGのシフトスケジュールがロングクルーズに適した穏やかな特性となります。

 

もうひとつ。今回の長距離ドライブで大活躍したのがACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)です。ティグアンのACCは前走車が出現したときの「アクセルオフ>減速」が実に自然で、好印象でした。ティグアンはこれ以外にもレーンキープアシストやレーンチェンジアシスト、ダイナミックライトアシスト(ハイライン/Rラインに標準装備)、パークアシストといったさまざまなドライバー支援デバイスを搭載しており、あらゆる場面で絶大な威力を発揮します。

●雨や横風に強い4モーションの走り

常磐道から仙台東部道路に入り、仙台北部道路経由で東北道に合流します。午後4時、一関を過ぎたあたりから雨が降り始めました。北上を続けても止む気配はなく、時折横殴りのような強い降りに。ここでは、ティグアンの4モーションが頼もしい味方になってくれました。トンネルを出た直後の横風にあおられたような時にも盤石の走りを維持。ペースを落とすことなくドライブを続けることができました。

目的地を決めかねていた我々は、突如「網走をゴールにしよう」という結論に達し、当初予定していた「青森-函館」間の青函フェリーをキャンセル。八戸から苫小牧行きのフェリーに乗ることになりました。八戸出港が午後10時。苫小牧到着が翌朝6時。寝ている間にも距離を稼ごうという作戦です。

 

午後7時30分、八戸自動車道を経て八戸港に到着しました。ここまで9時間余り、およそ720kmを走りましたが燃料計はまだ3分の1を残しています。いわしのつみれ汁と焼きおにぎり(平野カメラマンは平ガニ味噌汁と海鮮サラダ)を食べて、ティグアンともどもフェリーに乗り込みました。

 

この記事の著者

角田伸幸 近影

角田伸幸

1963年、群馬県のプロレタリアートの家庭に生まれる(笑)。富士重工の新米工員だった父親がスバル360の開発に立ち会っためぐり合わせか、その息子も昭和期によくいた「走っている車の名前が全部言える子供」として育つ。
上京して社会人になるも車以上に情熱を注げる対象が見つけられず、自動車メディアを転々。「ベストカー」「XaCAR」で副編集長を務めたのち、ポリフォニー・デジタルにてPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ」シリーズのテキストライティングに携わる。すでに老境に至るも新しモノ好きで、CASEやパワートレインの行方に興味津々。日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定取得。大好物は豚ホルモン(ガツとカシラ)。
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