【三菱・エクリプスクロス 試乗】見た目も中身もスポーツ車らしい、SUVのエボリューション(的)モデル

三菱のコンパクトSUV・エクリプスクロスは、世界の標準車となり大量にリリースされているSUVの中にあっても、しっかりとした個性があるモデルでした。

全長は4405mmで全幅は1800mm、全高1685mmというボディサイズはホンダ・ヴェゼルに対して約100mm長く、トヨタC-HRに対しても約50mmほど長いサイズ。一方でマツダCX-5やスバル・フォレスターなどからは150mmから200mm短いという独自のポジションです。

ボディデザインはリヤドアの後ろにクォーターウィンドウがないことでコンパクト感を強くしたルックスが特徴です。

意識的にリヤウインドウの上下を狭めたことでスポーティーさが増していますが、同時にななめ後方の視界が悪くなっています。しかしこれは、この手のスタイリング優先車では不可避な感じです。

リヤサイドウインドウの流れのままに構築されたリアウインドウも上下が大変狭いものですが、エクリプスクロスでは通常のリアウインドウの下段に追加してもう一枚のウインドウが入ってますので後方視界は悪くありません。

インテリアも外観同様に特徴的な見た目をしています。インパネはセンター部分の空調やモニター、シフトノブなどにしっかりと存在感を持たせて配置したハードな造形のもの。大きな面積のつや消しシルバーの処理も目を引きます。

注目はリアシート。左右独立して200mmのロングスライドを持っているので使い勝手がいいです。

早速試乗してみました。乗ったのはGプラスパッケージ・4WDで、価格は309万5280円です。

エクリプスクロスのエンジンはハイブリッドやディーゼルなどの用意はせず、新開発の1.5L直噴4気筒ターボ一本のみです。

このエンジンはレギュラーガソリン仕様ながら150ps/5500rpmと24.5kgm/2000〜3500rpmと、なかなかの出力データを持っています。

ただターボエンジンは、レギュラーガソリン仕様にした場合思ったほど力強さが出ずに(燃料特性の違いから攻めたエンジンセッティングができないのです)「お財布には優しいけど加速はいまいち」ということにもなりがちです。味は悪くないけどなんかパンチに欠けるダイエット系コーラみたいな?

しかし、エクリプスクロスの場合はそんな心配を覆してくれました。アクセルを踏み込めば強めにトルクが立ち上がり、満足度の高い加速感を味わせてくれます。

組み合わされるミッションは無段変速のCVTなのですが、この車の場合はアクセルの踏み加減次第では擬似的に8段階のステップを切った変速もしてくれます。これが実際の効率(燃費数値とか絶対的な加速タイムとか)は不明ながら、ドライバーにとっては心地よい加速「感」を増強する役割を持っています。

フロント・ストラットでリヤ・マルチリンクのサスペンションも柔らかすぎずスポーティーなセッティング。きびきびしたパワートレインと相まって1550kgと軽くはないボディーですが、走りは軽快です。

ダウンサイジングターボやハイブリッド、またはディーゼルエンジンなどを搭載しているSUVはどれも低中速域で十分のトルクがあることから、遅いという印象を与えるモデルはほぼ皆無と言っていいです。

しかしながら、走って速い感があるか、楽しいか?と言われると「そうでもないかも」というモデルがあることも事実です。

そんな中にあってエクリプスクロスは「そういえばSUVのSってスポーツのエスだったよな」と思いださせてくれるような、元気のいい走りを味あわせてくれる一台でした。

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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