【ハノーバーモーターショー2018】電動化と自動運転、デジタル化を推進。よりクリーンで安全な物流を

– ZFは1兆5000億円以上を研究開発に投資 –

67回目を迎えた世界最大級の商用車ショー、ハノーバーモーターショー。展示会場の総面積は282km2と広大で、東京ドーム6個がすっぽり入る大きさです。48か国から2000社を超える企業が参加し、大型バスやトラックからフォークリフトやクレーンなど、あらゆる業務用のクルマや機器が展示されています。

一見すると見慣れた乗用車のモーターショーとはだいぶ印象の違う各社のブースですが、「はたらくクルマ」たちも安全性と効率の向上および自動運転という自動車業界の「メガトレンド」に向かっているのが良く分かります。ドイツ自動車工業会(VDA)のベルンハルト・マテス会長は、プレスデイ初日に行われた記者会見で、「技術の進歩による安全で効率的な商用車の将来の姿をこのモーターショーではお見せする」と自信を見せていました。

そんな中、「メガサプライヤー」の一角を占める地元ドイツのゼット・エフ・フリードリヒスハーフェン社(ZF)は、技術開発におよそ1兆5000億円(120億ユーロ)を超える投資を行う計画を発表しました。今後5年間、電動化と自動運転関連分野に積極的な取り組みを行うそうです。

特に商用車に関しては、同社が「スマート・ロジスティックス(洗練された物流)」と掲げるテーマに沿って、デジタル化とネットワークへの接続も含め、安全性と効率を飛躍的に高める革新的かつ現実的なソリューションの提供を目指すそうです。

車載システムのデジタル化と「コネクティビティ」、自動運転機能を活用した大型トラックの「プラトーニング(隊列走行)」の実証実験もドイツでは既に始まっています。将来的には、この隊列走行だけでも最大10%の燃料消費量とCO2排出量の削減が可能とVDAは試算しています。同時に、商用車メーカー、サプライヤー各社は電動化によるエミッション削減にも積極的に取り組み、ハノーバーでは電気自動車やハイブリッド化された商用車が多く見られました。

ZFがオランダのトラックメーカーDAF社と共同開発した初のハイブリッド大型トラックは既に路上での走行テストも行い、初期段階でも5%から7%の燃費削減を見込めるとの事です。

自動車業界は今、大きな変革の時代にあります。とりわけ商用車は、インターネット通販などの普及によってもたらされた物流環境の変化も加わりさまざまな課題に直面しています。各社の技術開発に対する取り組みが、クリーンで安全な社会の実現につながる事を期待しましましょう。

(Toru ISHIKAWA)