2018年上半期販売トップ・ノートe-POWERの実力を改めて確認。すべての制御が洗練されています

2018年上半期(1〜6月)の国内新車販売(軽自動車除く)で、アクアやプリウスを抑えて首位に立った日産ノート。

その躍進の原動力になっているのは2016年デビューのシリーズハイブリッド仕様・eパワーにあることは間違いないのですが、果たしてその乗り味はどんなものだったか。最新モデルに設定されるメダリスト ブラックアローというグレード(1.2LNAエンジン+モーター搭載・FF・242万4600円)に試乗して確認してみました。

ノートeパワーでは搭載されている1.2Lエンジン(最高出力79ps・最大トルク10.5kgm)はタイヤの駆動には直接関与せず、あくまでバッテリーへの充電やモーター(最高出力109ps・最大トルク25.9kgm)にパワーを供給する発電用出力としてのみ存在します。

というわけで実際の走行はすべて前輪と直結したモーターにて行っていますので、走行自体の感触を取り出して捉えると純EVに近いものとなります。

ただし発電用エンジンが走行中の少なくない場面でかかっているため(バッテリーの充電状態が良好な場合は除きますが、車体の軽量化やコストの観点からバッテリー容量が小さめなのでかかる頻度が多いのです)、運転中はエンジンの音が印象に残ります(今回試乗した上級グレードであるメダリストではシーリング材の追加などによって静粛性は一般モデルよりも向上しています)。

言ってみれば、客が少ないコーヒーショップで、うるさくはないけど常にうすーくBGMがかかってる、みたいな感じでしょうか。

このため全体の印象としてはEVというよりもハイブリッド車に乗っているという感覚は強いです。逆に加速状態にあるときよりも存分に純EV的なフィールがあるのは、アクセルだけで加減速が楽しめる「ワンペダルドライビング」時にあります。

ノーマルモード状態では加減速はアクセルとブレーキを使って一般的な車両と同様に行います。しかし、eパワードライブのSモードやエコモードにしたときには、アクセルを緩めた際にブレーキの回生力をコントロールすることによって減速Gが大きく立ち上がるようになっているのです。

この減速Gの立ち上がり方はなかなか強力で、連続走行中の速度調整はもちろんのこと、そのまま0km/hの停止までフォローしてくれます。

このアクセルだけで加減速停止まで行うというシステム、聞くとちょっと違和感がありそうに思いますが、実際に乗るとかなりシステムが熟成されていることがわかります。違和感がほとんどありません。

思えばこのワンペダルドライブに限らず、アクセルを踏んだ際のモーターのトルクの出方や、その出力を受け止める車体づくりなどにおいてノートeパワーは数ある電動車の中でも相当に高い洗練度を持っていると思います。とにかく動きが自然なのです。

そこにはやはり世界初の専用車体・量産EV であるリーフを送り出した日産の、技術の蓄積があるのだなあと改めて感じるのでした。

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
続きを見る
閉じる