【マツダ・ロードスター試乗】ライトウエイトスポーツにふさわしい高回転エンジンとなった2リットルモデル

ユーノス・ロードスターから始まったマツダ・ロードスターの歴史はすでに30年に達しようとしています。その間、さまざまなモデルが登場し、ひとつのモデルごとに物語がある……そんなユーザーフレンドリーなクルマがロードスターではないでしょうか?

マツダはその時期の最良のクルマを提供するということをめざし、頻繁に製品改良を行うようになりました。一昔前の日本車は、2年に1度のマイナーチェンジ、4年もしくは5年に1度のフルモデルチェンジというサイクルでしたが、マツダはそのサイクルを打ち破り、ほぼ1年に1度の割合で改良を加えています。今回の改良の年月は2018年6月、前回が2017年11月ですから、ほぼ半年での改良となりました。

とくに大きな改良となったのがリトラクタブルハードトップを備えるRFグレードです。

リトラクタブルハードトップはその名のとおり、収納できるハードトップを備えたモデルで、ロードスターのバリエーションではありますが、どちらかと言えばコンバーチブル(ロードスターがオープンを基本とするのに対し、コンバーチブルはオープン、クローズ2つのボディタイプを共有するという考え方です)といったタイプのクルマです。

 

リトラクタブルハードトップの装置が重いため、ソフトトップモデルでは1.5リットルとなるエンジンも2リットルが使われます。その2リットルエンジンに改良が加えられました。

型式こそ同一ですが、シリンダーヘッドやピストン、コンロッドをはじめ、吸排気系などもチューニングしています。高回転での気持ちのいい伸びを狙ったエンジンチューンですが、その効果は上手に発揮されていて、マイチェン前のモデルに比べると伸び上がるようなフィーリングでエンジン回転が上がります。

レブリミットも従来の6800回転から7500回転に改められ、より回して楽しむことができるエンジンとなりました。今のエンジンのトレンドは低速トルクを増して、エンジン回転を上げなくても必要なトルクが得られるようにするものですが、ロードスターのようなライトウエイトスポーツは高回転、高出力エンジンが似合います。(今回はそこまでではないですが……)

喜ばしいのはステアリングの調整機構にテレスコピックが追加されたことです。従来のステアリング調整は上下が調整できるチルトだけでしたが、今回の改良で前後に調整できるテレスコピック機構が加わりました。たとえば、お腹が出てきてリクライニングを倒さないとポジションがキツいといった場面ではこのテレスコピック機構が非常に役立ちます。

今まで多くのクルマのマイナーチェンジ、商品改良を見てきましたが、フルモデルチェンジ以外でテレスコピック機構を追加したのは初めてだと思います。あらためてロードスター、マツダがきちんとしたクルマ作りに取り組んでいることを感じさせてくれる出来事でした。

(文・写真:諸星陽一)

この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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