【BMW640i グランツーリスモ試乗】意外性ある1台。全長5m超だけど4WSで取り回しは軽快、クーペだけど全高1.5m超で室内広々

BMW 640i xDrive グランツーリスモ Mスポーツは、先代にあたる5シリーズグランツーリスモの進化版です。基本的なコンセプトは5シリーズクラスの車格に、5ドアハッチバックのボディを載せるというもの。

全長5105mm・全幅1900mmとなかなか立派な体格です。ちなみに価格も1081万円となかなかです。

フロントフェイスはBMWの伝統的なスタイルで、中央には大きなキドニーグリルが備わっています。ただしこのグリルの奥ををよーく見ると穴が開いていません。

実はこの部分にはシャッターが揃っており、停車中や水温が低いときなどクーリング性能が必要でない状態の時には、電動で閉じているのです。なお高速道路巡航時にもこの部分は閉まっています。これは水温対策ではなく、空力対策です。高速走行時にはバンパー下部ダクトとボディ下面からの流入空気でクーリング性能は十分とのことでした。

車重は2010kgもありますが、実はこれでもシェイプアップが施されています。全長5m全幅1.9mの大柄な車体ですから漫然と作るとどんどん重くなってしまいますが、ボンネットやドアに関してはアルミ化することで重量増を避けました。

室内の広さは最大の魅力かもしれません。5ドアハッチ化したことでラゲッジは非常に広く、またリアシートも広大と呼べる空間が確保されています。

クーペフォルムなので中は狭いのでは?と想像するのですが実はデザイン上のマジックがありまして、このクルマは全高が1540mmとかなり高めなのです。

この高さはフロントシート空間にも大きなメリットとして還元されています。173cmの記者が座って天井までの空間はこぶし2個分、グラスルーフまでの距離ですとこぶし4個ものスペースが空いています。

3L直6ターボエンジンは340ps/5500rpmと45.9kgm/1380-5200rpmのアウトプットを持ち、ドライビングは快適そのもの。2000rpmも回していれば最大トルクが常についに発生しているようになりますので、通常走行ではアクセルを踏み込むこともなく、常時ゆったりしたドライブが可能です。

全長が5105mm、ホイールベースが3070mmの巨体ですから取り回しに不安がありますが、実際に乗ってみると大きな不便を感じません。インテグレイテッド・アクティブステアリングが搭載されているおかげだと思います。

これは低速時には少ない舵角で大きく前輪の切れ角をつけてくれるバリアブルギヤレシオ機構と、時速60km/h以下では逆位相・それ以上では同位相に後輪舵角をつけてくれる4WSを統合制御するシステムです。

グランツーリスモはクーペスタイルで狭そうに思えて広い室内、全長5mで厳しそうに思えて意外に軽快な取り回しなど、意外性にあふれた1台でした。

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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