北海道・利尻島の見どころをめぐるドライブコース(沓形〜本泊)【車中泊女子の全国縦断記】

鷲泊(おしどまり)港から利尻島を時計回りに一周するドライブコースを紹介するシリーズもラストです。

見通しの良い海岸ルートなので景色を眺めながらドライブを楽しめ、また仙法志御崎公園から西側は夕陽スポットのはじまりでもあります。

仙法志岬の夕景。夕陽は沓形(くつがた)方面に沈みます。この付近にはカモメが多く営巣していて、ちょうど今の時季には可愛らしいヒナがあちらこちらに見られます。

利尻島内には、湧水を汲めるところが主に5ヶ所あります。甘露泉水(山中と利尻富士温泉駐車場の2ヶ所)、長寿の泉水、姫沼、麗峰湧水です。

【長寿の泉水】は駐車場がないため、気持ちよくドライブしていると看板を見過ごしてしまうかも。ほぼ「人様のお宅の庭」という感じです。姫沼を一周する遊歩道にある湧水は、気に留めてないと見つからないかも知れません。

もっとも汲みやすいのは、仙法志御崎公園から西へ約5kmの道道108号線沿いにある【麗峰湧水】です。道路の左右に路側帯があり、普通車3~4台ずつくらい停められます。

【北のいつくしま弁天宮(厳島弁財天)】

仙法志御崎公園から約8km。駐車場(路側帯)は普通車なら10台くらい停められそうです。祠は『龍神の岩』に鎮座しています。嵐で岩に打ち砕かれそうになった弁財船を弁天様が救ったとされ、そのご加護に感謝して建てたと云われています。

すぐそばにある【寝熊の岩】は、熊が海に向かって伏せて寝ているように見えることから名づけられました。案内板によると昔、この地に先住民族住居跡と伝えられている大穴澗(あなま)があったそうですが、道路工事のため埋没し、現在は寝熊の岩だけが残っているのだそうです。

並んで海に突き出している【人面岩】には注連縄が張ってあり、それが〝ハチマキ〟になっているらしいのですが…「人面」に見えるまでだいぶ時間がかかりました。ここもカモメの雛がたくさん見られます。

北のいつくしま弁天宮から約3km、道道108号線を離れ海岸沿いへ左折すると【神居海岸パーク】があります。小さな物産館とお食事コーナーがあり、ホッケのすり身汁やホタテ貝汁、昆布塩やきそば、たこカツカレー、うにぎり(ウニ入りおにぎり)などなどが味わえます。

ここで筆者がお薦めするのは『ウニ穫り体験』です!

湾内に天然の生け簀を造って船を浮かべ、そこから自分でウニを穫るのです。箱眼鏡やタモは実際に漁師さんが使っているものと同じ。ウニ漁の難しさを実感します。

そして穫ったウニは、その場で割って食べる事ができます。これがもう最高! 軍艦(オプション)に乗り切れないほどの身が詰まっていて大満足でした。ウニ1個で1,000円、軍艦は100円です。利尻島に来た甲斐がある体験のひとつではないでしょうか。

神居海岸パークから約4km、沓形港フェリーターミナルに隣接する【沓形(くつがた)岬公園】からは礼文島が一望でき、また周辺にはエゾカンゾウ、エゾノシシウド(ハナウド)、ハマナスなどが咲き乱れ、背後には利尻山と、絶好の撮影スポットです。

沓形港フェリーターミナルお向かいに、お土産屋さんが3軒並んでいます。その中の【北利ん道(きたりんどう)】(看板には旧店舗名【どんと美咲喜(みさき)】と書かれています)にて、ご当地ソフトクリーム【愛す利尻山】が販売されています。

まず目を惹くのはトッピングされた乾燥ウニ。『愛す利尻山』の食べ方は、まずその乾燥ウニ(+乾燥ウニ粉末)が乗っている部分を食べてから、昆布を粘りが出るほどソフトクリームと混ぜます。そうすることによって2段階の味を楽しめるというわけです。

さらに、スプーンは根昆布です。『乾燥ウニ』『昆布塩』『根昆布スプーン』、3つとも特許を取得しているのだそう。乾燥ウニ【うに珍味】もお土産によさそうです。

【沓形岬公園キャンプ場】

沓形フェリーターミナルから約500m、沓形岬公園内にある【沓形岬公園キャンプ場】は、1泊なんと300円。車内泊も300円。管理人さんが朝または夕方に料金を徴収に来ると看板に書いてありますが、筆者の知る限りでは朝しか来ません。

駐車場は南北に2ヶ所あり、トイレは南側の駐車場に近いです。コインランドリー(洗濯機200円、電気乾燥機60分200円)、炊事棟、ミニビジターセンター併設。

蛇足ですが、キャンプで自炊するなら沓形町内の【米田商店】さんへ行くと新鮮魚貝類を販売しています。その日の仕入れにもよりますが、筆者の知る限りでは、ここがウニの販売価格がもっとも安かったです。キャンプ場から徒歩10分弱。

沓形フェリーターミナルから約1km、沓形緑町に鎮座する【北見冨士神社】は、利尻島内で唯一、宮司さん在所の神社。

オリジナリティあふれるユニークな御朱印がじわじわと人気を博しています。初穂料500円、縁結びのお守りと飴ちゃんもセットでした。一般的に御朱印は300円、お守りは安くても500円ですから破格です!

丁寧に描かれるので時間がかかりますが、利尻富士登山の安全祈願に、縁結び祈願に是非。

こちらも沓形フェリーターミナルから約1km、町なかにある【利尻 島の駅(海藻の里・利尻)】。町なかには駐車場が少ないので、フェリーターミナルにクルマを停めて歩いて散策することをお薦めします。米田商店や北見冨士神社も徒歩圏内です。

元々は海産問屋【兼上渡辺商店】という、築120年以上の歴史ある建物を再活用している、喫茶店 兼、お食事処 兼、お土産屋さん 兼、ギャラリーです。落ち着いた雰囲気の店内、麗峰湧水コーヒーで一息ついてはいかがでしょう。

旅の想い出に人気の『海藻押し花クラフト体験』は1ドリンク付き1,100円(中学生以下は700円)、所要時間は約15~30分程度。
店舗の裏手にある石蔵はギャラリーになっており、絵画や版画、詩(書)、押し花などなどの作品が展示されています。閲覧無料です。

【利尻山 見返台(みかえりだい)展望台】

沓形港から利尻山に向かって登ること約7km、利尻山 沓形登山ルートの5合目(標高450m)にあたります。道路はここで行き止まりで、駐車場にトイレもあります。展望台までは徒歩約5分ですが、勾配がきついのが難点。利尻山と、眼下には沓形港が一望できます。

沓形を離れ、沓形フェリーターミナルから約12km、利尻島の北側にあたる【富士野園地】へ。駐車場とトイレもあります。入り口がすっごく狭いので要注意です。大型バスもよく利用するのですが、反時計回りじゃないと曲がるのが大変そうなくらい直角です。

ここも【北のカナリアたち】ロケ地。〝花の浮島〟にふさわしい、エゾカンゾウの群生地帯です。展望デッキと東屋があり、どちらも徒歩1分。東屋の正面はポンモシリ島、カモメの営巣地としても知られています。

いよいよ利尻島をめぐる見どころラスト、【夕日ヶ丘展望台】です。富士野園地からは約500m、駐車場は砂利で、トイレもありません。

見た通りの斜面なので行きはけっこうキツイです。西側には水平線の向こうに礼文島、その手前に富士岬(富士野園地)とポンモシリ島。東側(鴛泊方面)にはペシ岬が突き出しています。「夕日ヶ丘」の名の通り、夕陽が刻一刻とあたりの色を変えてゆく、幻想的な風景が広がります。

ゴールの鴛泊港フェリーターミナルまでは約2km。稚内へのフェリー最終便は、17:35発-19:15着(7〜8月)。ちょうど夕陽が見られる時間帯なので、洋上に浮かぶ利尻島と夕陽を眺めながら旅情に浸るには充分なシチュエーションですね。

【ドライブコース】

仙法志御崎公園(前回の続き)→ 麗峰湧水 → 北のいつくしま弁天宮 → 神居海岸パーク → 沓形港 → 利尻山見返台展望台 → 富士野園地・夕日ヶ丘展望台 → 鴛泊港フェリーターミナル で約40km。ほぼ利尻島の西側半分を走りました。

今までの見どころをふまえて筆者オススメのコースを提案するとすれば、鴛泊港FT → 姫沼 → オタトマリ沼 → 白い恋人の丘(沼浦展望台) → 仙法志御崎公園 → 麗峰湧水 → 北のいつくしま弁天宮 → 神居海岸パーク → 沓形港FT(沓形岬公園) → 富士野園地・夕日ヶ丘展望台 → 鴛泊港FT で約62kmとなります。散策時間や体験を短縮すれば、どうにか稚内までは日帰りできそうです。

利尻富士絶景スポットを巡る【利尻山十六景スタンプラリー】というイベントがあり、これを廻れば利尻島の主な観光スポットを網羅できるという仕組みです。鴛泊フェリーターミナルか、沓形の【利尻・島の駅】でスタンプラリー台紙(200円)を購入し、スタンプをすべて集めると景品がもらえるそうです(冬期[11月~5月頃]は休止)。

この夏の想い出に、日本最北端の離島への旅を検討してはいかがでしょうか。

(松本しう周己)

【関連リンク】

ハートランドフェリー
http://www.heartlandferry.jp/

 

この記事の著者

松本しう周己 近影

松本しう周己

高校は美術科を卒業し、印刷会社のデザイン部に就職するも2年足らずで退職してフリーターに。主にコンサート・イベント関係で全国を駆け回る。その後、なぜかウェブデザインの道へ。仕事としては車との接点はまったくないが旅行好きでドライブ好き、20年前から道の駅などで車中泊していた。
「ネットを通して仕事ができれば、どこにいても構わないのでは」と、2005年、ついにキャンピングカーを自宅兼仕事場としてしまった。根は機械オンチなため、日進月歩の日々。
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