2030年代に「完全自動運転」社会へ。欧州委員会が実現に向けた工程表を発表

EU(欧州連合)の欧州委員会が5月17日、2030年代に「完全自動運転社会」を実現するための工程表を発表しました。

自動運転社会により、2025年までに8,000億ユーロ(約105兆円)を超える市場がEUの自動車産業や電機業界に生まれると試算しており、2020年代に高速道路での自動運転や都市部での低速自動運転を実現、2022年までに全ての新車を通信機能を備えた「つながるクルマ」化、2030年代に完全自動運転社会を目指すそうです。

新聞報道によると、年内にEU加盟国における安全基準統一に向けた指針作りを開始するそうで、自動運転車用のAI開発やインフラ整備に必要な資金支援も実施予定。

自動運転実現に向けた法整備ではドイツが先行。2017年に特定の条件下での自動運転「レベル3」を使えるように道交法を改正しており、独アウディが世界初のレベル3対応車「A8」を発売。

欧州委員会は工程表で「欧州は安全な完全自動運転で世界のリーダーになる」と強調。安全などの基準整備を加盟国や自動車メーカーとともに急ぐ考えのようで、完全自動運転の社会を2030年代に実現すると内外に示すことにより、技術開発を急ぐ米国や急速に追い上げる中国に対抗する狙いが有るとみられます。

一方の日本でも警察庁が公道で自動運転の実証実験をするガイドラインを示したことで実験環境が改善され、自動車メーカーの動きが活発になっており、実際の交通環境での技術開発が加速しそうです。

Avanti Yasunori

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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