トヨタもスズキも作っていたロータリーエンジン、もしも実用化していたら?【マツダのレジェンドに学ぶ・第6回】

ここで閑話休題。山口京一さんによる、ロータリーエンジン開発初期の頃のお話をはさみます。

ダイムラーベンツも開発を進めていたロータリーエンジンですが、SLに搭載する予定もあったそうです。

1973年には「C111」と呼ばれていた実験車に試乗する機会があったそうで、そのフィーリングはただただスムーズだったそう。そんな貴重な試作車に日本人として乗れたことも凄いですが、45年も前に乗った車両のインプレをリマインドできる能力に感服です。

当時はGMもロータリー開発に積極的だったようですが、燃費面の問題から経営会議でNGが出たとのこと。もしベンツ、GMが実用化していたとしたら、どんな未来になっていたのでしょうか。

その後NSUはアウディへと吸収され、以降はアウディブランドとしてロータリー開発は進みます。じつは現在でもA1のレンジエクステンダーにはロータリーエンジンが使われていたこともあったそうで、その火は途絶えていないのです。

トヨタもマツダ10Aロータリーに似たエンジンを開発しており、これは産業技術記念館に展示もされていました。スズキも500ccの1ローターエンジンを作っていました。そのほか、船外機メーカーでも採用されていた時代もあったそうです。

「生き字引」というレベルをはるかに超えた山口京一さんの知識と経験値。メーカーとジャーナリストがたがいにリスペクトしながら共存していた時代が、現在から見るととても新鮮に映ります。

【動画はこちら】

https://www.youtube.com/watch?v=LNFLeRMABOw

(畑澤清志)