【週刊クルマのミライ】自動車マニアがドイツ車を誉めるのは「ドイツ基準」で判断しているから?

自動車を評価するときにベンチマーク(比較のための指標)とされるのはドイツ車であることが多いと感じることはないでしょうか。

とくにフォルクスワーゲン・ゴルフやメルセデス・ベンツSクラスといったモデルは、それぞれのカテゴリー(セグメント)において絶対的なベンチマークとして、インプレッションの基準となっているといえるほどです。また、最近ではフォルクスワーゲンの新型ポロについて「Bセグメントのベンチマーク」といった表現を使うケースを見かけることも少なくありません。

たしかに、グローバルに見ればベンチマークなのかもしれません。ですが、グローバル基準が日本のマーケット特性に合致しているかといえば、そうとは限りません。たとえば、フォルクスワーゲンが広く展開しているトランスミッション「DSG」は、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)として時間をかけて進化させてきたものですが、それでも発進時のギクシャク感や低速走行でのマナーには難があると指摘されることもあります。

それでも「DCTは理想のトランスミッションだ」と言われてきたのは、それがCセグメントのベンチマークと言われるフォルクスワーゲン・ゴルフが採用している機構だという面も無視できないと思いませんか? たしかに流れのいい郊外路や高速巡行においてはDCTの欠点はほぼ見当たらないかもしれません。逆に、渋滞や坂道発進に見舞われる日本の都心部ではグローバルなベンチマークがマッチしているとは言えないかもしれないのです。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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