【ジャガー・Eペイス P250試乗】「ベイビージャガー」でも、たっぷりした横幅と仕立てはプレミアム

世界的に人気のカテゴリーとなっているのがSUVです。今まではSUVには参入していなかったブランドも、次々にSUVを製造してきています。ジャガーではすでにFペイスというSUVを導入していますが、第2弾として「Eペイス」を追加しました。

ジャガーのなかでは小さなモデルというということで「ベイビージャガー」という愛称が与えられましたが、その全幅は1900mmとかなり恰幅のいい赤ちゃんです。ちなみに全長は4410mm、全高は1650mmとなります。

運転席からの視界はバッと開けていて、気持ちのいい風景が広がります。Aピラーはかなり太いのですが、形状が工夫されているので、その太さが気になりません。

 

エンジンは2リットルのディーゼルとガソリン。ディーゼルは180馬力/430Nmのスペック、ガソリンはP250が249馬力/365Nm、P300が300馬力/400Nmのスペックとなります。試乗車は249馬力のP250でした。ミッションは9速で、駆動方式は4WDです。

アクセルを踏んでいくと、かなり勢いよく加速します。最近のクルマとしてはちょっと扱いにくい荒々しさも感じます。走行モードが変更できるジャガードライブコントロールは「コンフォート」「エコ」「ダイナミック」「雨/氷/雪」の4つのモードが変更可能です。この荒々しさを抑えるには「エコ」を選んだほうがいいでしょう。また、加速中にアクセルペダルをゆるめても、すぐに減速モードには入らず、ススッと前に進んでしまうのが気になりました。

ハンドリングはなかなかシャープで、機敏にコーナーを抜けていくことができます。アクセルフィールとは異なり荒々しさを感じることはない適度なシャープ感です。ステアリング操作に対するボディの動きは正確で、安心してクルマを走らせることができます。

乗り心地はちょっと硬めです。とくにタイヤが路面に当たる感触がそのまま伝わってきてしまうような印象でした。これはとくに後席に乗っているときに多く感じたのですが、速度を上げていくとその感触が薄れてきます。ヨーロッパ車にありがちな感覚ですが、日本の一般的な走行ペースにはちょっとマッチしない感じがしました。

ジャガーはプレミアムブランドとして確固たる地位を築いていますが、そのイメージが販売にブレーキを掛ける原因にもなっているといいます。Eペイスに「ベイビージャガー」の愛称をつけたのも、そうしたイメージを払拭したいという思いが込められています。しかし、クルマそのものは十分にプレミアムの要件を満たすものでした。

(文:諸星陽一・写真:前田恵介/諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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