「Re 又造 MATAZO KAYAMA」でアートが身近に

先日、東京・恵比寿のスバルの本社ショールーム「スバル スタースクエア」で開催されていたスバルのコンセプトカー「VIZIV」シリーズが展示されていたイベント「スバル・デザイン・フォーラム」。その会場の外に「Re 又造」と書かれ、桜など日本風のラッピングが施されていた車が一台。それは今回のアート展のイベントプロモーション用に作られたものでした。

「又造」…。私は「加山又造」のことを知らず、今回のイベントではじめてその存在を知りました。又造さんは著名な日本画家。すでに他界されているとのことですが、生前にBMWとコラボしたことがあり、その時はラッピングではなく、直にクルマのボディに絵を描いたそうです。とはいえ、今は残念ながらそれは叶いませんが。

そして今回のイベントは「スバル スタースクエア」の3階EBIS303イベントホールで現在開催中の「Re 又造 MATAZO KAYAMA」。イベントを主催した加山氏のお孫さん、加山由起氏のオープニングレセプションでのお話によれば「天井の龍の絵だけでも展示したいとお願いし、叶えていただきました」というのは1997年に身延山久遠寺大本堂の天井に描かれた「雲龍寺」ともうひとつ天龍寺法堂天井に描かれた「墨龍」。原寸大の大きな龍の絵が会場内の天井にも再現されています。

会場は又造の人生をなぞるように屏風や版画などが展示されています。そしてそれを最新のクリエイターたちによって最新技術で美しく鮮やかに、そして力強く蘇ります。まずは少年時代、一本一本の毛まで描かれた猫の絵。又造氏は猫ちゃんがお好きだったようで、3枚の猫の絵が展示されています。

個人的には富士山が好きなので富士山の絵も気になりましたが、これは少しタイプが違うような感じがしました。又造が悩みながら制作していたということですが、それがこの富士山を描いたころなのでしょうか。

ほかにも陶板の作品「華扇屏風」だと触れることができたり、「春秋波濤」という作品では3枚の透明の板に描いて奥行きを出し、その中の世界に自分が入れる演出がされたりと、新しい技術と融合していているうえに自分もその中に入り込めるため、アートが身近に感じられます。

また、2016年に開催されたG7伊勢志摩サミット会場に展示された巨大陶板作品「おぼろ」が展示されていたり、又造が実際に天井画を書いている映像や、話をしている映像なども会場内では見ることができます。個人的には最後の桜がハラハラと散っている映像と「おぼろ」が好き。

東京の桜はすでに散ってしまいましたが、こういったアートの世界ではいつまでも色褪せることなく残ることができるうえ、技術の進歩でさらに美しく表現することが可能にもなります。私もいつまでも色褪せない女性でいたいものです。

5/5(土・祝)まで 東京・恵比寿 EBIS303イベントホールで開催中とのことです。

吉田 由美