【週刊クルマのミライ】日産・e-POWERの馬力アップに電動車両チューニングの可能性を感じた!?

日産から100%電気駆動のハイブリッドシステム「e-POWER」を搭載したセレナが登場しました。2016年にノートに搭載された「e-POWER」の第二弾となります。

同じ「e-POWER」といっても、コンパクトカーのノートと多人数乗車するミニバンのセレナでは要求性能が異なります。当然、セレナのほうがパワーを求められるわけで、モーターのスペックは向上しています。

ノートの駆動モーター:最高出力80kW・最大トルク254Nm
セレナの駆動モーター:最高出力100kW・最大トルク320Nm

パワー、トルクともに25%増しになっているのですから、内燃機関の感覚でいえばまったく違うパワートレインを採用しているように思えますが、そうではありません。型式でいえば同じ『EM57』型の交流同期電動機を積んでいるのです。

ちなみにこの電動機は、100%電気自動車のリーフにも使われていますが、リーフのスペックは最高出力110kW・最大トルク320Nmとなっています。セレナでさえモーターの性能をすべて引き出しているわけではないのです。

とはいえ、モーターの性能はバッテリーなどからどれだけの電力が送られるのかで決まりますから、同じモーターであっても最高出力が何割も異なるというのは当たり前の話。バッテリー出力を変えずに制御プログラムだけで簡単に最高出力を上げられるというわけではなさそうです。

もうひとつ、ノートとセレナのe-POWERを比べると発電機を回す3気筒エンジンの型式は「HR12DE」と同じで、1198ccの排気量もそのままですが、最高出力はノートの58kW/5400rpmからセレナでは62kW/6000rpmへと上がっています。こうして発電能力を高めることも、バッテリーの電気を使い切っても十分な走行性能を維持するためには必要だったということです。

ちなみに、セレナとノートの最終減速比は7.388で同一。タイヤサイズからするとセレナのほうがハイギア方向に行くはずですが、それでも発進性に問題がないというのは、最大トルクを太らせているという面があるにしても、電気駆動系ならではのアドバンテージといえそうです。

(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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