斬新にし過ぎないことが斬新? もうすぐ日本発売の「BMW X2」はなぜ日本はガソリンエンジンのみの導入なのか!?

今年1月のデトロイトモーターショーで発売され、今春から日本でも発売される「BMW X2 」。

BMWで最も小さなSUV「X1」のクーペ版ですが、いわゆるSUVというより、スマートでスポーティなSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)。

「X2」は、「X1」をベースにしたクーペスタイルですが、全長と全高は「X1」のほうが大きく、全幅だけ「X2」のほうが大きいという、つまりワイドにして迫力を持たせつつ、全体的にはコンパクトにし、スタイリッシュでスポーティに見えるだけではなく、低重心で走行安定性とダイナミックな走りを両立させたいということのようです。

ちなみに日本に導入されるのは今年春に四輪駆動の2リッターガソリンエンジン「xDrive20i 」、今年秋に二駆で同じ2リッターガソリンエンジンながら出力を抑えた「sDrive18i」の予定。しかし今年1月にポルトガル・リスボンで試乗した新型「X2 」は四駆で2リッターのディーゼルエンジン「xDrive20d M sport X」なので、パワートレーンは違いますが、「X2ワールド」はたっぷり味わえました。

とはいえ一見、「X1」とどこが違うの?と思うかもしれません。いえ、実際私もそう思ったので、X2のプロジェクトマネージャー、ユリウス・シュレップコッテン博士に「X1」との違いを伺ってみました。

『実はプラットフォーム以外エクステリア、ドアノブ、アンテナに至るまですべてが違います。足回りでも前軸のキャンパー角を変えてスポーティ方向にし、ダンパーやスプリングなども刷新。また重量バランスを低めに設定、低床にすることでSUVにしてはやや低めのアイポイントとなっています。車両重量は「X1」と「X2」はほぼ同じですが、前後の重量バランスを前を58~62ぐらいに変化させます。また「X2らしさ」は、デザインに焦点を当てていること。フロントを下げてスポーティで男性的なデザイン、FFベースらしからぬ長いフロント、細長い窓、BMWのアイコンであるキドニーグリルを下げ、足元を固めています。また、リアハッチが大きすぎないので、力強くスポーティな印象に仕上がっていると思います。X1でやり残したことをX2でやっているのでバランスが取れていると思います。』とのこと。

そしてエクステリアで印象的なのは、CピラーについているBMWのエンブレムがX2の個性を際立たせますが、これは「BMW 30CS」のオマージュ。

今回、試乗した「MsportX」は、よりラリーらしさを強調したグレードで、ボディ下にフローズングレーの部分を持ってくることでコントラストを付け、スポーティなクルマをよりスポーティに。試乗車のタイヤは19インチですが、より存在感のある20インチの選択も可能のようです。しかし街中では19インチのほうが快適ということで19インチを標準設定にしたとか。とはいえ、乗った感じでは足回りはかなりガッチリしている印象です。

そしてハンドルにもこだわり、「M sport」のハンドルが装備されているうえ、FRと同じステアリングフィーリングとなるように設定されています

走行モードはハンドルサポートを少なくした「スポーツモード」、ペダルの踏み込み量などを制御したり、エアコンを切るなどカスタマイズができる「エコモード」、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の設定を135㎞/hまで設定できる「コンフォートモード」を自由に操ることができます。

そしてインテリアにも基本的な操作系は「BMWの世界」そのものでX1と同じですが、パッと見た目の高級感や、ステッチなどにハンドメイドを施して違いを演出しています。

また、より進化した「BMWコネクティッド」はiphoneや「アマゾン・アレクサ」と連動し、必要な情報はもちろん、会話やさらに先を行くスケジュールの予測なども行い、「繋がる」レベルも最新にバージョンアップ。

そしてデザイン、走り、コネクテッド、のほかにもうひとつ、先進安全装備も充実しています。「X2」には60㎞/h以下で車間距離を制御できるうえ、車線維持も可能にする「トラフィックジャムアシスト」、前車との距離を保ちながら追従し、30-140㎞/h以内で停止や再発進なども行う「ドライビングアシスタントプラス」、駐車をサポートする「パーキングアシスタント」などが搭載されています。

 

ただ残念なのは、今回試乗した2リッターのディーゼルエンジン「X2 xDrive20d M sport X」の日本導入予定は今のところ無し。というのは日本では、2、4、6といった偶数シリーズはスポーツ系のクーペモデルなので、ガソリンエンジンでスポーツ走行をしてほしいとのことで、X2もガソリンモデルのみ。個人的には「スマートに遊び倒す」ということであれば、乗れば乗るほどしっくり来て好感触、しかも燃費のよい「X2 xDrive20d」もアリだと思うのですが。

吉田 由美