アウディ・クワトロシリーズを氷上でドライブ。アクセルで面白いほど車体が向きを変えてくれる!

アウディのフルタイム4駆機構システム『クワトロ』の性能を味わう氷上ドライビング体験をしてきました。

低μ路でのAWDといえば、安心・安全だけのものというイメージが先行しますが、今回の試乗では「その先」の積極的ドライビングでの美点が感じられました。

まずはクワトロ機構そのものについて軽くおさらいしておきたいと思います。

アウディではフルタイム4WD機構のことをクワトロ・テクノロジーと呼んでいますが、その機構は大きく3タイプに分けることができます(ここではR8の特殊なミッドシップ4WDシステムは除きます)。

1つ目はクワトロ機構の本流とも言える機械式センターデフロック機構を持つシステム。

これは前輪に40%・後輪に60%(例)というような規定トルクにしておき、前輪の空転率が高まったら後輪の方により多くのトルクを配分してやる(その逆もあり)というトルク変動を起こします。現行モデルでいうとA4やA6、A8などがこの方式を採用しています。

2つ目のシステムはQ5に搭載の「ウルトラ・テクノロジー」採用のクワトロシステムです。このウルトラ・クワトロは前出の本流クワトロ方式を基礎に置きつつ、電子制御式センタークラッチを設けています。

これによって、路面状況によっては後輪の駆動力を切ってFWDとして燃費を稼ぐことも可能になりました。

またウルトラ・クワトロでは、ステアリングの舵角や前後左右G、エンジンのトルクといった数多くのセンシング対象から総合的に判断して、AWDシステム作動の必要性について事前に「準備」する制御が入ります。

例えばコーナリング中、フロント内側タイヤがグリップ限界に近づいてるときには後輪駆動のスタンバイを開始し、システムが想定した通りにグリップ値が落ちてきた時には速やかにシステムを起動してAWDにするという形です。また、ドライ路面で走行中に突然現れた水たまりでグリップが失われるといった、システムが準備/予測不能な状況でも(当然ですが)瞬時にAWDに切り替わります。

3つ目はエンジン横置きモデルに搭載されている電子制御マルチプレートクラッチ付きクワトロ機構です。 これはFFベースの4WDとしてさまざまなメーカーで採用されている形態ですが、アウディでは車両からの情報解析と制御能力の高さを誇っています。

以上を把握した上で実際に氷上でテストをしてみます。

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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