4WDの優位性ってなに? スバルのAWDで東北の雪道を走りながら考えてみた

突然ですが、4WDのメリットってなんでしょうね?

ボク自身、かつては「4WDなんて要らない派」でした。それなりに雪の降る地域で生まれ育ったのですが、両親が乗っていたクルマはずっと2WDだったし、ボクが免許を取ってから乗っていたクルマはFR。雪が積もった路面でも日常の移動はもちろん、スキーにだって躊躇なくFRのクルマで出かけて「FRサイコー」とか思ってましたからね。

まあ、道に雪が積もっていたり凍っている上り坂では止まらないように気を付けていましたが(FRだと再スタートできない可能性もあるから)。

でも、歳をとると考えって変わるものなんですよね。

以前は雪が降ると喜んでFR車でドライブに出かけたものですが、ここ数年は4WDのほうが安心できるし楽でいいなと思うようになりました。そして、とにかく安全が大事。そんな心境の変化が、齢を重ねるっていう事でしょうか。

先日、SUBARUインプレッサやXVで秋田から青森にかけての山中を走り抜けてきました。スバルは4WDのことを「AWD:All Wheel Drive」と呼ぶのですが、いずれにしろ運転はリラックスそのもの。

試乗した八甲田山の周辺は真っ白な圧雪路をはじめ、雪道だけど一部がアイスバーンになっている路面もあれば、ウェットでときどき凍結しているような場所もありました。全面的に雪が積もった道よりも、路面状況が刻々と変化する状況のほうがドライバーへの負担を強います。それは路面のスリップしやすさが絶えず変化するから、神経をはる必要があるからです。

しかし、2WDに比べて4WDだとその神経のはり具合が違う。4輪に駆動力をかけてしっかりと路面を捉えるおかげで、ちょっと気を抜いてもクルマの挙動が乱れにくいから、疲れないんです。

運転していると思うんですよね、こういう感覚って大事だなあと。

もうひとつ、絶対的な安心感の大きな理由が発進の心強さ。FFでもFRでもMR(ミッドシップ後輪駆動)でも、雪道の上り坂で発信するのは本当に気を遣います。上手に発進しないとスリップして前へ進めないし、ときには路面が滑りやすすぎてどれだけ頑張ってもスタートできないこともあります。

そんな時でも、4WDであれば涼しい顔をして坂道発進できちゃうんですよね。余裕が全然違う。

そんなわけで以前より大人になったボクは、氷雪路面でも運転中に過度の緊張を強いることなくリラックスできることが4WDの最大のメリットだと思ってみたりするわけです。

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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