車両周辺をモニタリングする新技術「フライングカメラシステム」をOKIとザイロン社が開発

駐車時に自車両の周囲を俯瞰映像で見ることができるサラウンドビューシステムは、車両の前後左右に取り付けた4台のカメラで撮影した車両周辺画像を、自車両の3Dモデルを中心にした1つの画像に合成し、自車両を真上から見下ろしたような仮想的な俯瞰映像を画面上に表示するようになっています。

つまり、あらかじめ設定されたカメラ視点で自車両を俯瞰するもので、事前に複数のカメラ視点の中から俯瞰映像の視点を選択するようになっています。

このため、発進時の進行方向などのようにドライバーが運転中に視認したい特定箇所を注視することが困難で、改良が要望されていました。

以上のような現行システムの課題を解決することを目指し、俯瞰映像のカメラ視点を運転中に自在に変更できる車両周辺モニタリングの新技術「フライングカメラシステム」が登場することが、OKIグループで知られる沖電気工業の発表で明らかになりました。

新開発のフライングカメラシステムは、タッチスクリーン操作でリアルタイムにあらゆる角度から自車両の周辺を監視することができるという特徴があり、ドライバーの運転をより楽にしてくれるものと期待されています。

このフライングカメラシステムは、OKIグループの設計受託会社である日本のOKIアイディエス(OIDS社)とクロアチア共和国のXylon d.o.o.(ザイロン社)が共同開発したもので、仮想カメラの視点を自在に変更して360度リアルタイムに自車両の周辺を監視できる機能を備えています。

ザイロン社は、欧州・北米で自動車の先進運転支援システム(ADAS)市場で高い開発実績を持っているということです。

新しい車両周辺モニタリングシステムであるフライングカメラシステムは、4台以上のカメラと評価用ボードから構成されており、乗用車の発車・駐車時の危険回避、道路への合流支援、バスやトラックといった大型特殊車両の走行中周辺の死角監視など、自動車の色々な運転シーンでドライバーを助けてくれそうです。

またOIDS社では、フライングカメラシステムに様々な顧客独自が要望する機能を、受託開発して柔軟に追加することも考えているということで、新システムはOIDS社により11月から国内ADAS市場向けに提供が開始されます。

現時点でフライングカメラシステムを搭載した車載機器は発表されていませんが、今後、どのようにフライングカメラシステムが普及して行くかに注目が集まっています。

(山内 博・画像:沖電気工業)