【新車試乗】上質さは増したものの楽しさは少し減った!? 4代目スイフトスポーツの走りをチェック

新しいプラットフォーム新しいエンジンを手に入れた4代目のスイフトスポーツは、走りの基本性能をアップ。全体として上質さを増した走りとなりました。

エンジンは低速から太いトルクを発生し、そのままトルクを維持するタイプの特性です。同じエンジンでレギュラー仕様となるエスクードは過給が急激にあがり、それと同時にトルクも立ち上がるタイプで、ぎくしゃくした感じの走りになってしまいますが、スイフトスポーツは低速からしっかりトルクが出てそれが維持されます。

技術者に話を聞いたところ、ハイオク化することで低速トルクを増して使い勝手を上げているとのことでした。

タコメーターは6300回転からレッドゾーンとなっていますが、MT車の場合は6000回転でリミッターが作動してしまいます。AT車の場合はさらに低い5800回転でシフトアップしてしまう仕様です。実際は6300回転まで回しても問題はなく、そこまで回った際には強制フューエルカットが行われる設定だそうですが、その前に規制されてしまうなら規制される回転数でレッドゾーンを示すべきでしょう。

また、スイフトスポーツのタコメーターは全体に赤い帯が描かれていて、レッドゾーンが把握しにくいデザインです。これは本来の機能をスポイルするデザインですので、あってはならないものと言えます。

ハンドリングはスムーズでフリクションの少ないタイプのものです。ステアリングを切っていくとノーズがスッと内側へ向きます。その動きにはムダがなく、ドライバーの意思に素直で、必要なだけの動きが現れます。コーナリングフォース(タイヤが発生する曲がるための力)の立ち上がりはゆったりとしていて、急な動きはありません。

先代モデルに比べてスプリングレートが高くなっている、つまり足まわりが硬くなっていますが、乗り心地は損なわれていません。もっとも大きな要因は、先代に比べてホイールベースが延長されていること、トレッドが広げられていることでしょう。また、車重が軽くなったことも大きく影響しています。

スイフトスポーツは初代から代を重ねるに従って、どんどん上質な乗り味に進化してきました。加速、ハンドリング、減速、あらゆる部分がどんどん洗練され雑味が減っていきました。おそらく、サーキットでタイムを計測すれば、最新モデルがもっとも速いでしょう。

しかし、乗って楽しいかと言えば、それにはちょっと疑問が残ります。もっとドライバーに任せる部分があってもいいのではないでしょうか? エンジンも回してこそパワーが手に入るもの、サスペンションのセッティングも積極的に荷重移動をすることでよく曲がるほうが走らせて楽しいクルマとも言えるのではないでしょうか。

ついつい辛口になってしまうのも完成度の高さから。スイフトスポーツは今あるFFコンパクトカーのなかでは1、2を争う楽しさとコストパフォーマンスを持ったクルマであることは間違いありません。

(文:諸星陽一/写真:小林 和久)

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この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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