旅の楽しみのひとつ、マンホール蓋のデザインから見えるもの・東京編【車中泊女子の全国縦断記】

マンホールの蓋に「デザインマンホール(ご当地デザイン)」があることを発見したのは、かれこれ30年近く前になるでしょうか。

単なる幾何学模様が当たり前だと思っていたら、旅行先でたまたまデザインマンホールを見つけたのがはじまりです。今となっては、それがいつ・どこだったかも思い出せませんが、気づけば旅先でデザインマンホールを撮り集めるようになっていました。

東京都民が見慣れているであろう、マンホール蓋のデザインは「桜(都の花)、イチョウ(都の木)、ユリカモメ(都の鳥)」。ユリカモメは若干、無理がありますが……。ちなみに桜のデザインが微妙に違うものが何パターンか存在し、中には犬の顔に見えるものがあるらしいです。探してみたくなりますね。

マンホールの蓋というと真っ先に下水道を想像しますが、上水道、電力、ガスなど、地下設備を有する事業体の数だけあります。

そしてデザインは1種類とは限らず、下水・汚水・雨水などそれぞれ違ったデザインが施されていたり、下水だけで何種類ものデザインがあったり自治体によって様々。フルカラーのものもあります。マンホール蓋は税金で製作されていますから、自治体の力の入れようも垣間見えますね。

小平市の汚水マンホールの蓋。中央に市章、4匹の魚は「汚水を綺麗にして川に戻す」ことを意味しているそうですが、小平市には「市の魚」とか指定されていないし、絵柄の魚は清流に澄む種類というイメージでもないし、謎です。ちなみにもっともよく見かけるデザインは、ケヤキ(市の木)と小平市の街並みが描かれたものとなっています。

これらのデザインは、ただ見た目をよくするためだけではなく、スリップ防止のための凹凸であり、その比率も「より滑りにくいよう」計算されながら作られています。
素材は鋳鉄製(鋳物)がほとんどですが、稀に表面やデザインの凹面だけコンクリートやレンガを埋め込んでいるものもあります。そういうデザインマンホールを見つけるとテンションが上がりますね。

小金井公園へのお散歩途中で見つけたデザインマンホール。コンクリートが埋め込まれたレアなタイプです。

「じんちょうげ(市の花)」「ツツジ(市の花)」「けやき(市の木)」「はくうんぼく(市の木)」を見つけたのですが、はて、市の花/市の木が2種類ずつ……?

小金井公園は、小金井市と小平市・西東京市・武蔵野市にまたがっていますが、「白雲木(はくうんぼく)」を市の木に指定している市がないのです(小金井市=けやき、小平市=けやき、西東京市=けやき/ハナミズキ、武蔵野市=けやき/コブシ/ハナミズキ)。

西東京市は2001年に田無市と保谷市が合併してできたので、ひょっとして……と調べてみたところ、旧田無市の「市の木」が白雲木でした! さらに「ツツジ」は「田無ツツジ」のことでした。スッキリした。

2016年4月1日には、ついにマンホール蓋のコレクションカード「マンホールカード」まで登場したほど人気が高まっているデザインマンホール。旅先での楽しみのひとつに「マンホール探し」を加えてみませんか?

(松本しう周己)

この記事の著者

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松本しう周己

高校は美術科を卒業し、印刷会社のデザイン部に就職するも2年足らずで退職してフリーターに。主にコンサート・イベント関係で全国を駆け回る。その後、なぜかウェブデザインの道へ。仕事としては車との接点はまったくないが旅行好きでドライブ好き、20年前から道の駅などで車中泊していた。
「ネットを通して仕事ができれば、どこにいても構わないのでは」と、2005年、ついにキャンピングカーを自宅兼仕事場としてしまった。根は機械オンチなため、日進月歩の日々。
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