最高速テストドライバー・Dai稲田が誕生した日。トップタイムはウエスト・コルベット285.71km/h【OPTION1983年2月号より・その2】

いまや「世界を代表する最高速ドライバー!?」として人気の、最高速テストドライバー・稲田大二郎(Daiちゃん)の誕生秘話を紹介したその1。依頼したレーサー北野元選手が、あまりにも危険過ぎる…と、その場を立ち去ったことから、やむをえずドライバーを務めることになったDaiちゃん。

そして、この日の最高速テストでトップタイムを記録したのは、アメ車軍団代表ともいえる、ウエスト・コルベットでした。今回の【その2】では、ウエスト・コルベットの紹介と、Daiちゃんの著書「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」から、この日のテストを振り返ったDaiちゃんの気持ちをプレイバックしてみましょう。

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1982年11月25日 谷田部自動車研究所・高速周回路

1位 ウエスト・コルベット454
285.71km/h

強力なV8トルクが風を切り裂いた! 純アメ車ナンバー1の記録達成!

このコルベットは、初トライで265km/hをマークしている。その時から454パワーの凄さは分かっていたけど、サスペンション設定が悪く、バンクで踏めず、直線だけでスピードアップした。今回はサスペンションを大幅に改良しているというので、期待できた。500ps以上は楽にあると思われるパワーで、グングン加速していく迫力は圧巻。1周めは軽く流して各部をチェックしたけど、異常なし。2周めにバンクを5速5500rpmで抜け、直線でN2Oのスイッチを入れた。が、エンジンがストールしそうになり、スピードがのびない。そこで、3周めはN2Oを入れなかった。エンジン回転が上がり、加速。直線の横風でもあまり振られないので、6500rpmまで回った。ヨーイングなしでここまで踏めたのは、おそらくボディが重いことが安定性を増し、軽い国産マシンより有利に作用したのではないだろうか。もし風がなければ、もう200rpmくらいスピードアップしたはずだ。これにN2Oがジャストフィットすれば、恐ろしいスピードがマーク出来ると思う(Dai)。

ウエストレーシング・金澤重宝

このエンジンは、6700rpmまで回るはずです。しかし、この悪条件の中での記録には満足しています。これでアメ車も見直してくれるでしょう。

シボレー454 LS6改仕様

[エンジン]排気量:7440cc(454CID)/ボア・ストローク:107.95×101.60/ピストン:BRCアルミ鍛造/コンロッド:キャレロ鍛造/クランク:ハンク・ザ・クランク鍛造/ブロック:LS6・4ボルト/ヘッド:バーレイ・Dポート/カムシャフト:クレーン・メカニカル/リフター:メカニカル/キャブレター:ホーリー850改
[サスペンション]Fコイル:ディックガルツストランド/Fショック:コニ・ダブルアジャスト/Rコイル:ディックガルツストランド/Rショック:コニ・ダブルアジャスト/ブレーキ:GM純正ガルツランド製パッド
[タイヤ]F:P7 255/60VR15/R:P7 275/55VR15
[ギヤ比]トップ:1.000/ファイナル:2.730

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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