後側方の車両を検知して事故を低減させるデンソーの新開発24GHz帯準ミリ波レーダーが新型カムリに搭載

デンソーは、後側方の車両を検知する車両の安全システムに欠かせない24GHz帯準ミリ波レーダーを開発したと発表しました。今回デンソーが開発した準ミリ波レーダーは、2017年7月に発売されたトヨタの新型カムリに搭載されているということです。

この準ミリ波レーダーは車両のリアバンパー内に搭載されており、走行中に視認が難しい後側方走行車両や、後退時に左右後方から接近してくる車両を検知することができます。

準ミリ波レーダーで車両の後方を監視することによって、車線変更時に隣接車線を走行する車両の存在を通知するシステムや、駐車場からの後退時に右または左後方から接近してくる車両の存在をドライバーに注意喚起し、衝突の危険性がある場合は自動ブレーキ制御を行うシステムを実現できます。

車両の後方を監視する安全システムを実現するためには、準ミリ波レーダーに車両の進行方向によって検知を行う方向や範囲を切り替える機能が必要です。

そこでデンソーが新開発した準ミリ波レーダーでは、車両の前進・後退の運転操作に連動して、移相器とよばれる装置を切り替えることで、レーダーが検知する方向や範囲を切り替えることができるようになっています。また、電波を送受信する回路と移相器回路をそれぞれひとつのICに集積することで、センサーの薄型化にも成功したということです。

同時に画像が公表された準ミリ波レーダーの制御基板には、モノリシック・マイクロ波集積回路:Monolithic Microwave Integrated Circuit(MMIC)と呼ばれる移相器MMICと送受信MMICが実装されており、両MMICには米・タワージャズ社製のウェハを採用し、出力レベル、受信感度の安定化を実現しています。

デンソーは、車載レーダーとして世界初となるデジタルビームフォーミングと呼ばれる電子スキャン方式を採用したミリ波レーダーを2003年に開発し、商品化したことでも知られています。

今回の準ミリ波レーダーの開発は、ADAS(高度運転支援)や自動運転にも利用できる技術で今後の発展が期待されています。

(山内 博)