大人気のタントじゃダメなの? ムーヴ・キャンバスが必要とされるワケ

ダイハツから新登場した軽自動車「ムーヴ・キャンバス」が好調です。

両側スライドドアを採用したことなどにより、軽自動車としては比較的高価な設定となっていますが、発売1か月で2万台もの受注を集めるほど支持されています。

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とはいえ、ムーヴ・キャンバスの商品コンセプトが掲げるメインターゲットは「親と同居している30代独身女性」という非常に限定されたもの。ここまでの人気を集めるというのは意外にも思えますが、そのコンセプトには、実は新たなニーズを掘り起こす狙いが隠されていたのです。

そのヒントは「ミニバン世代」という言葉にあります。スライドドアのミニバンが国内市場に生まれてからずいぶんと経っています。たとえば、日産セレナにしてもすでに5代目であり、スライドドアと共に成長してきた世代が増えています。

そうしたユーザーにとっては、一人でクルマに乗るときであってもスライドドアは便利な機構という認識だといいます。この意識が軽自動車においてダイハツ・タントやホンダN-BOXといったスライドドアモデルの売れ行きを支えているという面は否めません。

しかし、ダイハツの市場調査によると、タントには「子育て用クルマ」といイメージが強く、「後席への荷物の積みやすさなどスライドドアの利便性は欲しいのだけれど、子育て中と思われるのはイヤ」という理由から選びづらい面があったといいます。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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