規格化が進む48Vマイルドハイブリッド向け双方向降圧/昇圧コントローラICが販売開始

米国のアナログICメーカー リニアテクノロジーは、48V/12V の自動車用デュアル・バッテリ・システムに対応できる双方向降圧/昇圧コントローラIC「LTC3871」の販売を開始したと発表しました。

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現状の12V自動車電源システムでは、最近の電気装備の増加で、供給可能な電力量の限界である3KWに近づいており、より大電力を供給できる電源システムが要望されています。

一方、欧州の自動車メーカー・部品メーカーでは、48Vマイルド・ハイブリッドの規格化が進み、日本勢が先行する200Vストロング・ハイブリッドに対抗する動きがあります。

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今回のリニアテクノロジー社による新IC「LTC3871」は、このような最近の自動車電源システムの動向をにらんで、利用可能な電力を増やす自動車用 48V/12V電源に対応した双方向同期整流式降圧/昇圧 DC/DC コントローラを実現するものです。

新ICは、48V/12Vシステム向けに提案されている新規格 LV148 に対応して、既存の12V システムに48Vバスを補助的に組み合わせて、最大10KWの電力を供給する能力があり、48V電源システムには、48Vマイルド・ハイブリッド向けにベルト駆動スタータジェネレータ(BSG) またはモーター機能付きジェネレータ (ISG)、48V リチウムイオン・バッテリ、双方向 DC/DC コンバータが用意されています。

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新IC「LTC3871」の耐圧限度は100V/30V で、3つの温度グレードが設定されており、高温車載グレードは-40℃~150℃の動作温度範囲が保証されています。

リニアテクノロジー社の新IC担当副社長である Don Paulus 氏によると、

「自動車の電気システ ムの一部を48Vで駆動することは、利用可能なエネルギーを増やすと同時にワイヤーハーネスの軽量化や損失低減を行う上で中心的な役割を果たすでしょう。このようにしてエネルギー容量を増やすことにより、新しい技術への道 が開けるので、性能を落とすことなく、より安全で、より効率的な車を実現することができます」

と新ICのメリットを説明しています。

欧州勢の48Vマイルド・ハイブリッド車登場が近づく中で、日本勢が優勢の200Vストロング・ハイブリッド・システムがどう進化してゆくのか、すでにマイルド・ハイブリッド車を販売しているスズキが欧州の新規格にどう対応するのかが、今後注目される点になります。

(山内 博・画像:リニアテクノロジー)