自動運転車向けの地図配信にNTTドコモの携帯電話ネットワークを活用する研究

NTTドコモ(ドコモ)は、総務省・自律型モビリティシステム(自動走行技術、自動制御技術等)の委託事業で、パスコ社と共同で委託先に選定され、7月15日に採択通知書を受け取ったと発表しました。

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今後ドコモは、エッジコンピューティングを利用した高度地図データベースの高効率なリアルタイム更新・配信技術の開発を開始することになります。

今回ドコモとパスコ社が委託先に採択されたのは、総務省の「平成28年度 情報通信技術の研究開発『自律型モビリティシステム(自動走行技術、自動制御技術等)の開発・実証』」の4つの研究開発課題のうち、課題III「高度地図データベースの高効率なリアルタイム更新・配信技術の確立」についてです。

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ドコモとパスコ社の役割分担については、パスコは主に自動走行に必要な高度地図データベース(以下、ダイナミックマップ)の更新技術の開発を分担し、ドコモは自動走行車へのダイナミックマップの効率的な配信技術の開発を分担します。

ダイナミックマップとは、道路情報や道路上の物体に関する高精度な地図情報と、道路交通情報や他の車、バイク、歩行者等の状況に応じて変動する情報を、時間的・空間的に統一して三次元の空間情報にまとめた地図のことです。

ドコモが開発する技術は、自動走行車へのマップ情報配信に携帯電話のネットワークを活用することを想定したものです。

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現状のネットワーク技術で膨大なデータ量となるダイナミックマップを高速移動する自動走行車に配信すると、携帯電話ネットワークへ高負荷がかかり、ダイナミックマップの配信に不具合が発生することが予想されるため、より効率的な配信技術が求められています。

そこでドコモは、エッジコンピューティングの技術を用いて、ダイナミックマップのサーバーを携帯電話のネットワークに分散して配置することで、ネットワークに与える負荷を低減する技術を検証し、効率的な配信技術を開発します。

エッジコンピューティングは、ユーザーの近くに情報を処理するサーバー(エッジサーバー)を分散設置することで、クラウドコンピューティングに比べて、遅延の少ない情報処理やデータの分散を可能とする技術です。

ドコでは、今回の実証実験で携帯電話(モバイル)のネットワーク網にエッジサーバーを設置することで、モバイルエッジコンピューティングの環境を構築することを目指しています。また、今回の委託事業による技術開発の一部をNTT未来ねっと研究所と連携して進めるとしています。

(山内 博・画像:総務省、ドコモ)