ジェイテクトの「次世代電子制御四輪駆動車用カップリング」が日本フルードパワーシステム学会・技術開発賞を受賞

自動車部品のジェイテクトは「電磁クラッチを用いた次世代電子制御四輪駆動車用カップリングの開発」で、日本フルードパワーシステム学会の技術開発賞を受賞したと発表しました。

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電子制御四輪駆動車用カップリングは、四輪駆動(AWD)車に搭載され、電磁クラッチを用いて、必要に応じ適切な前後輪のトルク配分を行う駆動装置です。

通常走行では装置内のクラッチの押し付けを行わず前輪駆動で走行し、雪道のような低μ路面など、前輪がスリップする場合は、装置内のクラッチを押し付けることで、後輪に瞬時に適切なトルクを伝達することができます。

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一方、クラッチを押し付けていない時(前輪駆動時)の引きずりによるトルクおよび、クラッチを押し付けている時(四駆駆動時)の伝達トルクは、低温環境下では必然的に潤滑油の粘度の増加により増大してしまいます。

この環境変化によるトルク特性の変化を改善することで、駆動力伝達ロスの低減および、ドライブラインの強度設計面からの見直しによりAWD性能を高いレベルで維持したまま、ドライブラインの軽量化による低燃費化を実現することが期待できます。

新開発の次世代電子制御四輪駆動車用カップリングのキーポイントは、電磁クラッチ表面の微視的な油圧反力に注目し、表面形状(テクスチャリング)を工夫することでクラッチ間動圧を積極的に利用、潤滑油の粘度が増加する低温環境下において過大なトルクの増大を抑制することに成功した点です。

特別な装置や制御を搭載することなく、電磁クラッチの形状のみで引きずりトルクおよび伝達トルクの温度依存性の低減を実現し、低燃費化や環境負荷低減への貢献が期待されることが認められ、今回の受賞につながりました。

最近のAWD車は、外観からは通常のFF乗用車とまったく変わらず、車重の増加もわずかな範囲に抑えられていますが、AWD車の進化は今回のような自動車部品メーカーの技術に支えられています。

(山内 博・画像:ジェイテクト)