プジョー3008が「緊張感の中から生まれた」SUVと言えるワケは?

先日、パリ近郊ブールジェで行われた新型・プジョー3008の発表会に、運よく出席することができました。

壇上から所感を述べたオートモーティブ・プジョー社のマクシム・ピカCEOは、自身がトップに就任して初めてゼロから手がけたクルマであること、そして従来的なハッチバックの上背を伸ばしただけのSUVと違って、ハンドリングやドライビング・エクスペリエンスという点で一切妥協や我慢のないプジョーらしいプジョーであるとスピーチ、個人的な思い入れを隠そうとしませんでした。

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プジョーのトップ自らがそこまで新しい3008に感情を込める理由は、いくつかあります。

まず、ピカCEO自身が就任した時期は、プジョーの屋台骨が傾きかけてフランス政府や中国の東風グループの資本注入を受け入れ、生産拠点の閉鎖や人員削減をやむなくされた危機の時代であったこと。

その一方で、SUVクロスオーバーというジャンルは、先進国・新興国それぞれの市場を問わずここ数年、世界的に隆盛しています。全体の市場規模ではほぼ横ばいが続く欧州ですら、SUVの占めるシェアだけは7年前の約2.5倍にまで伸びているほどです。

しかも2世代目となる3008には、欧州COTYを獲ったプジョー308ハッチバックやシトロエンC4ピカソですでに投入され、性能やポテンシャルを高く評価されている最新世代プラットフォーム「EMP2」を使えるという、高いデフォルト期待値がありました。

そもそもEMP2は軽量かつ低重心であるだけでなく、SUV化を視野に入れてステアリングポストやバルクヘッド周りの剛性を確保して設計された、この上ない素材です。

ハッチバックの派生モデルだったひと世代前の時代と違って、プラットフォーム開発の流れの中でもはやSUVは、亜流どころか限りなくメインストリームに近い存在なのです。

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つまり、新しい3008は開発から生産、販売まで全体のオペレーションのあらゆる局面で、プジョーとして捲土重来を期すべき緊張感の中から登場してきたニューモデルであることが了解されます。