トヨタがバーチャル人体モデル・THUMSに「子ども」モデルを追加

トヨタは、人体に衝撃が加わった際の傷害をコンピューター上でシミュレートできるバーチャル人体モデル「THUMS(サムス :Total HUman Model for Safety) Version 4」に10歳、6歳、3歳の「子ども」モデルを追加し本年秋から販売すると発表しました。

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今回の「子ども」モデル追加で、大柄男性、成人男性、小柄女性モデルも含めて、THUMSのラインナップが完成したことになります。

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THUMSは人体各部位の傷害程度を予測することが可能で、エアバックなど乗員保護装置の技術開発に活用されています。

また、THUMSはNASCAR(ナスカー : National Association for Stock Car Auto Racing 全米自動車競争協会)のレース事故におけるドライバーの肋骨骨折を低減するシート形状規格などモータースポーツ分野でも活用されています。

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今回「THUMS Version 4」に追加する10歳(身長138cm相当)、6歳(身長118cm相当)、3歳(身長94cm相当)の「子ども」モデルは、各年齢の平均体格を表現しています。

これまで発売してきた、大柄男性モデル(身長189cm相当)、成人男性モデル(身長179cm相当)、小柄女性モデル(身長153cm相当)と同様、乗員と歩行者の姿勢を模擬した2タイプ(計6タイプ)を揃えています。

トヨタでは、ラインナップの充実により、年齢や体格差による影響まで考慮した、より幅広い傷害解析が可能となるとしています。

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トヨタは2000年にTHUMS Version 1を市販開始して以来、2003年のVersion 2で顔面・骨を、2008年のVersion 3では脳を、2010年のVersion 4では脳や内臓の形状をはじめ骨格、内臓との位置関係や結合状態まで精密にモデル化してきました。

2015年のVersion 5では、衝突前の乗員身構え状態を模擬できる筋肉モデルを追加するなど、THUMSは継続して改良・進化を重ねてきました。

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今回追加する子供モデルは、米国ミシガン州のToyota Technical Center内に設置されている「先進安全技術研究センター」(CSRC : Collaborative Safety Research Center)が、米国のウェインステート大学(Wayne State University)やミシガン大学(University of Michigan)と共同で実施した研究成果(身体形状データ)などを活用して作成されたということです。

(山内 博・画像:トヨタ)