NEDOがマレーシアで2階建てEVバスシステムの実証実験を実施

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、マレーシアのプトラジャヤ市で、重量の制約上これまでEV化は困難とされていた大型の2階建て(ダブルデッカー)EVバスシステムの実証実験を実施すると発表しました。

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今回の実証実験についてNEDOは、同市の都市交通システムの効率向上によるスマート化を図るとともに、今後は都市交通の問題をパッケージで解決する事業を広域展開することを目指しています。

実証内容は次の3点です。

・主要な営業路線において、長寿命かつ超急速充電可能な二次電池を搭載したフルサイズ(長さ12m)のEVバスを走行
・超急速充電システムを現地に設置
・搭載電池の品質、充電状態およびバス運行状況のモニタリングシステム構築

マレーシアの行政首都であるプトラジャヤ市は、政府機関が集中しており、都市計画にグリーンシティを掲げているなど、マレーシアおよび東南アジア諸国連合(ASEAN)地域に向けたEVバスのショーケースとして最適な都市です。

このような背景からNEDOは、同市の都市交通システムの効率向上によるスマート化を目指して、同市と基本協定書(MOU)を2015年7月に締結、超急速充電システムや蓄電池の長寿命性能など、EVバスシステムの実証事業(期間:2015~2019年度)を実施しています。

これまでの実証事業に加えて、重量の制約上EV化は困難とされていた大型の2階建て(ダブルデッカー)EVバスシステムの実証をNEDOが世界に先駆けて実施するということです。

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NEDOは、2015年12月にインド・ハリヤナ州でスマートグリッド実証事業を実施することも発表しており、アジアで積極的にスマート化技術の普及を図っています。

2階建てのダブルデッカーバスは、道路占有面積・運転手あたりの輸送能力が高いため、マレーシアをはじめASEANなどのアジアの人口過密地域で導入が進んでいます。しかし、バス車両重量が道路の重量制約上限値に達してしまうことから、これまでダブルデッカーバスのEV化は困難とされてきました。

今回、同市の協力を得て、最適な容量の蓄電池搭載と10分間充電を実現する大電力充電技術により、ディーゼル並みの運行性能を有する大型のダブルデッカーEVバスを開発し、世界に先駆けて同バス2台を用いたEVバスシステムの実証が行われることになりました。

本実証は、東芝、ピューズ、ハセテック、オリエンタルコンサルタンツグローバルの4社およびマレーシアのバス運行会社であるPAPSB社が共同で行われます。

NEDOからの発表には含まれていませんが、今回の実証に東芝が参加していることから、今回のEVバスの蓄電池には東芝の「SciB」リチウムイオン電池が搭載されていると思われます。

(山内 博・画像:NEDO)