レッドブルエアレース2016 第3戦・千葉大会の予選は、強風と高波により中止となりました。
予選が中止の場合、決勝日最初のマッチアップ「ラウンド・オブ・14」の組合わせは直前迄のチャンピオンシップランキングの上位-下位となります。幕張に夜半から降っていた雨は完全に止みましたが、また風が吹き始めました。
今年のコースレイアウトの主な変更点は、飛行距離の延長(50秒台→1分5秒前後)・スタート位置の変更に加え、コース端のターン方法に指定があります。
飛行するにあたって、2本のパイロンの間を飛ぶゲート以外はコースの飛行方法に制約はほぼありませんが、ゲート4(/12)を抜けた後、機体が垂直なるまで左右に旋回を始めるとペナルティとなる制約ができました。
安全性のための措置ですが、飛行機の三次元の機動がダイナミックに表現される見せ場となります。落とし穴でもありますが。
コース反対側のゲート8を抜けての180度ターンは制約なし、水平に旋回してもOKです。
朝の室屋選手は大変落ち着いた様子。トラブルが無ければラウンド・オブ・14は問題無く勝ち抜けると話していました。
【Heat1】
ペーター・ポドランセック(ランキング10位)
全体最初のスタートは会場のコンディションが一切判らないだけに不利となります。ゲート7侵入時、海側からの風に機体が数メートル流され、補正をかけるも痛恨のパイロンヒット! 3秒のペナルティを受け、1:11.752で飛行を終えます。
カービー・チャンブリス(ランキング5位)
後攻のチャンブリス選手、ポドランセック選手の3秒ペナルティをマージンに変えた飛行で1:06.509を記録。ラウンド・オブ・8に勝ち上がります。
【Heat2】
室屋義秀(ランキング11位)
コース侵入時の「スモークオン」の指示でスモークが出ず1秒加算のペナルティ。苦しい競技開始です。室屋選手は、バーティカルターンがウイングレット非装着の機体では不利(ここだけで0.5秒程遅い)と分析していましたが、 バーティカルターンは他の選手より得意な室屋選手、1:06.022(ペナルティ加算後タイム)でマクロード選手を待ちます。
ピート・マクロード(ランキング4位)
後攻のマクロード選手は、練習の時から室屋選手に対して1〜1.5秒程遅いタイムしか出ていないため、攻めた飛行に出ます。 ゲート7通過時にゲート8に向けた動き出しが早過ぎてインコレクトレベル(水平不保持)での2秒ペナルティを受けると 更に攻めますが、ゲート12通過後のバーティカルターンでオーバーGを発生させ、万事休す。DNFとなり、室屋選手が昨年に引き続きラウンド・オブ・8に進出します。
【Heat3】
マイケル・グーリアン(ランキング9位)
先攻グーリアン選手は一発よりステディに勝ちを狙うのが信条といわれるパイロット。スタートスピードも199マイルと、順調に競技を開始したかに見えた10秒も経たないターン4の垂直上昇時開始直後、オーバーG:DNFで失格となりました。
ナイジェル・ラム(ランキング6位)
ラム選手はグーリアン選手の失格を知ってのゆとりを持って飛行している筈ですが、ここまでの最速タイム1:05:552を叩き出しての勝ち上がり、2014年チャンピオンの実力を見せつけます。
【Heat4】
マルティン・ソンカ(ランキング12位)
昨年ランキング4位、チェコ空軍のパイロットはコンパクトな無駄のないライン取りで唯一の1分4秒台(1:04.352 この日の最速タイム)を叩き出します。
ハンネス・アルヒ(ランキング3位)
1:05.356を叩き出すも敗北。しかし、このタイムはソンカのタイムに次ぐものです。