日産自動車がアセアンに研究開発の拠点を設置

日産自動車は4月28日、同社のアセアン地域統括会社であるアジア・パシフィック日産自動車会社(NMAP)がタイにR&Dテストセンターを開設すると発表しました。

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新テストセンターは、アセアン地域の自動車生産の中心であるタイに開設され、日産グループのアセアン地域の研究開発における主要ハブになるものです。

タイの新テストセンターでは、日産のアセアン地域のコアモデルである「ナバラ」や、最もよく売れているエコカーの「アルメーラ」や「エクストレイル ハイブリッド」を含む計12車種の車両テストを同センターで行うとのことです。

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2003年に現在も稼働中のR&Dセンターをタイに設立して以来、タイは日産にとって、アジア・パシフィック地域における拠点になっており、今回の新テストセンター開設によって、市場投入に向けた商品の品質保証という商品開発の下流工程から、プロトタイプの評価テストなど商品開発の上流工程までの広範囲の開発業務をタイで行うことができるようになります・

今後NMAPの新R&Dテストセンターは、インドネシア、フィリピン、マレーシア、ヴェトナム、タイのアセアン5カ国を対象にサービスを展開し、さらにタイ工場から輸出される90カ国以上の車両もテストすることになる、ということです。

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NMAPは、新テストセンターの開設で、従来のR&Dセンターの設備に加えて無響室、電波暗室、振動シミュレータ装置のある環境試験室など、タイにおいて業界初のテスト設備を搭載したR&Dセンターを有することになり、日産のタイにおける開発能力が増強されることになります。

日産は今回の新テストセンターに10億バーツを追加投資して、敷地面積6,600平方メートルの同施設を開設しました。同施設では今年度中に新たに雇用を増やし、従業員数を合計330名に増員する予定で、日本でトレーニングを積んだタイ人の技術者らとともにテスト設備を運営したい、としています。

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同R&Dセンターの開所式に出席したタイのソムキット副首相は

日産の、タイへの技術および人材開発の移管に向けた投資を称賛します。本開発投資は、国内の生産及び輸出需要を伸ばし、タイの更なる経済発展に貢献することでしょう。

と挨拶しました。

それに対してタイ日産自動車の南部一孝社長は、

アジア・パシフィック日産の新テストセンターは、日産のタイにおけるプレゼンスを高めるとともに、タイの自動車産業の発展における重要なマイルストーンでもあります」と述べ、新R&Dセンターの実現は、タイの高い技術を持つ労働力や競争力、強固なサプライチェーンに加え、タイ政府による効果的な政策支援のおかげである

と強調しました。

タイはアセアン地域での日系自動車メーカーの拠点となっており、日産の新テストセンター開設でタイがますますアセアン地域での自動車生産の中心地になるものと見られます。

(山内 博・画像:日産自動車)