新型プリウスのエアロパーツ開発秘話「2種のエアロが生まれたわけは?」

フルモデルチェンジして4代目となった新型プリウス。各方面からいまもっとも注目される1台ですが、確実に売れるであろう車種として、世の中に溢れることは個性的ではなくなる宿命も持ち合わせる。そこに個性を際立たせるパーツが早くもモデリスタから登場しています。

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今回、その商品企画とデザインの担当者にお話を聞くことができましたので、その開発秘話などお伝えします。

■アイコニックスタイル
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■アップグレードスタイル
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トヨタモデリスタインターナショナル デザイン部デザイングループ・主任 森大樹(右)

トヨタモデリスタインターナショナル 販売企画部企画グループ・グループマネージャー 小林大祐(左)

世界観の違いで見せる、2つの方向性

———まず「アイコニック・スタイル」と「アップグレード・スタイル」という2仕様を設定した理由から教えてください。

森:以前はハイブリッドということに珍しさがありました。でも最近では一般化してきて、先進的なものというより「燃費がいい」という理由で購入する人が多くなってきています。こうなると、尖ったデザインのエアロパーツには抵抗感を持つ人も多くなっているんじゃないか?と。ただトヨタとしてはやはり、プリウスは先進的なイメージで捉えてほしいはず……ということで、2つの世界観を設定することにしたんです。

20151221Modellista Prius_012———先進的なイメージは「アイコニック」のほうですね?

森:はい。自分の個性を主張したいという人向けですね。ベース車のコンセプトに共感しつつ、エッジの効いた自分を演出したい人に向けた、よりアイコンとしてのレベルを高めたのがアイコニック。アップグレードは高級感を持たせて、「他人とはちょっとだけ違う」という雰囲気を重視した方向です。

———それではアイコニックのデザインについて教えてください。フロントスポイラーは非常に大胆かつアグレッシブですね。

森:ベース車で多用されているトライアングル(三角形)のグラフィックを活用して、より強調する方向です。三角形の一辺を除いたL字形のグラフィックも使い、デザインを考えました。また最近はロワーグリルのグラフィックで躍動感を出すのがトレンドになっているので、ブラックアウトさせて特徴的に見せたり、メッキとLEDでさらに強調したりしています。

小林:ただ単に造形やメッキだけで付加価値にしているのではありませんよ。従来はボディ同色のパーツの中にメッキを入れていましたが、その周辺をブラックアウトしてメッキを際立たせるなど、作りも凝っています。

———アグレッシブな形状ですが、バンパー全交換ではないんですね。20151221Modellista Prius_018

小林:まるごと交換するフルバンパータイプだと、もともとのバンパーを廃棄することになってしまいます。これではエコではない。もともとのバンパーを生かしつつ、イメージを大きく変える方向で開発しています。

森:ただ、アクアなどでもリップよりは大きなスポイラータイプのほうが好まれています。「ベース車とは違う」と、はっきりわかるぐらいの変化があったほうが好まれるようですね。ヘッドライトとロワーグリル左右のL字形状は別々のグラフィックですが、実はバンパーの折れ線で繋がっていて、大きな「Z」を描いているような造形にしています。このおかげでベース車のデザインを残しながらごちゃごちゃしたイメージにすることなく、大胆なイメージが表現できました。

———リアスカートも、フロントと同じL字のモチーフですか?

森:スカート左右はトライアングルのイメージで、ボディ全体での一体感を重視しました。またエコカーなのでマフラーの存在感を重視するのではなく、遊び心を表現しています。

———なるほど。それではアップグレードのデザインについても教えてください。mode_up_grade_f

森:こちらは、あまりに尖ったものにしてしまうとやりすぎになってしまう。ユーザーの間口を拡げるという方向でデザインを考えています。フロントのトヨタマークから放射状に線が伸びて、センターからリアまで流れるような造形を心がけました。リアスカートも左右に広がるイメージです。

———たしかに落ち着きを感じます。でもプリウスのもともとのデザインもちゃんと残っている。

mode_up_grade_r小林:サイドスカートは2仕様で共通なんですが、ここもこだわったポイントです。通常はまるごとボディ色に塗ってしまうことが多いのですが、シャープなイメージにしてベース車をより引き立てたいということで、ブラックアウトさせているんです。

森:ブラックのグラフィックが途中で途切れているのは、ルーフがCピラーに繋らず途切れているように見せていたり、ヘッドライトの先端に見られるような、シャープなグラフィックとの調和を意識したためです。

単品パーツのデザインも世界観を反映

———メッキのガーニッシュやホイールも2種類あるようですが、これはそれぞれのスタイルの専用なんでしょうか?

小林:専用というわけではなく、単品で購入することも可能です 。最近は、エアロはつけるけれどもホイールは純正のままという人もいらしゃいます。でもホイールで印象はガラリと変わりますので、ぜひエアロとホイールをセットで装着していただきたいですね。新型プリウスではモデリスタが独自開発したホイールを設定していますので。

20151221Modellista Prius_015森:開発したホイールは18インチと17インチの2種類です。18インチはタイヤも交換となるので、アイコニック・スタイルのボディキットとの組み合わせで一体的に訴求したい。17インチならベース車でも設定があるので、こちらはリーズナブルに変更できます。どちらもボディのトライアングル造形をホイールにも織り込みつつ、ダイナミックなスポーク形状にデザインしました。

———デザインも18インチはより大胆で、17インチはスマートですね。

wheel_318_mode wheel_319_mode森:どちらもアルミのワンピースですが、18インチでは空力性能の高さをフィン状の造形で表現しています。17インチでは細いスポークをスタイリッシュに演出するデザインです。

小林:18インチでは、ガンメタの塗装も5〜6種類を試しました。真っ黒だとフィンがまったく目立たないので、少し明るいトーンで細かい造形を見せたいと思ったんです。停まっている状態で見ても特徴的ですけど、走っているときはフィンに当たった光がキラキラと反射するんですよ。

森:実は強度確保も苦労したんです。強度試験の結果を見て、造形を変更するというのを3〜4回、繰り返しました。でもおかげで、好き嫌いがはっきり分かれるくらいの個性的なデザインができました。

———フロントバンパーのインパクトに負けず、それでいて目立ちすぎない、絶妙なバランスだと思います。

森:縦方向のガーニッシュは、アイコニックに合わせたものです。これは企画担当のアイデアを元にして具現化しました。いままでと一線を画すグラフィックというテーマでデザインしたので、フロントスポイラーのL字グラフィックをミラーにもあしらっています。アップグレードではボディキットと同じく、横方向の流れを大事にしたデザインです。

20151221Modellista Prius_017小林:エクステリアでは、ルーフアンテナにも注目してほしいですね。LEDで発光するのですが、アンテナを光らせるというのはアフターパーツでもなかなかありません。新しい領域のカスタマイズとして提案していきたい。

m_selection_image森:ベース車と同じシャークフィンタイプですが、ボディキットの造形に合わせてウェッジシェイプをより強調するデザインにしました。後方の切り立った面の左右を削って多角形にすることで、ボリューム感を減らしつつシャープな印象にしています。