車体軽量化に新アイテム、炭素繊維強化材を使ったエンジンカバーおよびオイルパンが登場

ドイツを本拠とする化学会社であるBASFが、米国エネルギー省(DOE)のマルチマテリアル軽量車体(MMLV)実証試験事業の一環として、フォード、モンタプラストと提携して、自動車の車体軽量化につながる炭素繊維強化材を使った前部エンジンカバーおよび構造用オイルパンを開発しました。


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写真:BASFのUltramid(r) XA-3370を使用したマルチマテリアル軽量車体(MMLV)のフロントエンジンカバーおよび構造用オイルパン

BASFらは、従来アルミニウム鋳物製だったフォード・エコブースト用エンジンのフロントエンジンカバーと構造用オイルパンを、炭素長繊維(LCF)ポリアミド複合材に置き換えることを目指し、エンジン1基あたり約4ポンド(約1.8kg)の軽量化を可能にするLCF部品の試作品が完成させました。部品ごとでは、フロントエンジンカバーの23%、構造用オイルパンの33%の重量を軽量化することができました。

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写真:BASFの自動車事業の一例

今回の試作品開発について「炭素繊維のような最新の複合材を扱う上で、デザインや加工に関する新たな技術的課題が見えてきました」とBASFコーポレーション(米国)のパワートレイン マーケティング・マネージャー スコット・シュリッカー氏は述べています。

またスコット・シュリッカー氏は「現在、そして将来的な課題を解決するため、私たちは新たな軽量素材や軽量化技術に数多く取り組んでいます。フォードとの提携により、これらのソリューションを前進させることができました。」と付け加えています。

BASFは合同チームと緊密に連携して有限要素解析(FEA)を実施し、性能と重量の両面で部品の構造的な最適化を行いました。さらに、BASFは新たな LCFPA66 熱可塑性樹脂複合材であるUltramid(r) XA-3370を開発し、機械特性と加工性の最適なバランスを生み出すことに成功しました。また、試作部品の成形品質を保つため、加工および機械設備のサポートも行いました。

一方、複合材の射出成形において専門性と経験を持つモンタプラストは、機能構築と概念実証に向けた成型部品を製作しました。

「このチームの一員であることを大変嬉しく思っています。最新の熱可塑性樹脂製品の応用に挑み、お客様のニーズにお応えするソリューションを見い出してこそ、モンタプラストです」とモンタプラスト副社長のデイヴ・バーネット氏は述べています。

MMLV事業に使用される成形部品については、実際の車両内負荷シミュレーション試験を経て性能の評価を行い、その結果とBASFにより事前検討されたコンピューター・シミュレーション解析結果との相関について検討を加える予定です。合同チームは、追加部品や機能を統合し、製造工程を簡素化することで、これらの部品の価値が高まることを期待しています。

(山内 博)