タイヤの果たした役割は?【密着取材 スバル優勝六つの理由 第2章】

スバル/STIのニュルブルクリンクチャレンジの密着レポート、前回はマシンの優れた耐久性とベストなドライバーラインナップだったということについてお伝えしました。

ただ、レース前までは、マシンとドライバーについて盤石だと考えられていたかというと
決してそうではありません。

初参戦の山内英輝選手がもしマシンとコースに適応できなかったら…新開発のタイヤがマシンとマッチングしなかったら…これだけ完璧なレース展開はあり得なかったでしょう。

③山内英輝選手のブレイク

今シーズンのスーパーGT開幕からスバル/STIチームに加入し、BRZ GTのステアリングを握る山内英輝選手が佐々木孝太選手にかわってニュルブルクリンク24時間レースに参戦することが正式発表されたのは、レース直前の5月14日のことでした。

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これまで山内選手はニュルでの実践経験はというと…4月上旬のクォリファイレース、同下旬のVLN第2戦ではプラクティスと予選でWRX STIをドライブしてはいるものの、4〜5周しか走っていなかったと言います。

ニュルの難コースにチャレンジするWRX STIのステアリングを走行経験が極めて少ない山内選手に託す…スバル/STIチームの決断には、相当な勇気が必要だったと思います。

しかし「シミュレーターでかなり走ってきたのでコースのイメージはできています」と山内選手は予選前にさらりと語ってくれました。

そんなコメントを裏付けるように、山内選手は快調にラップを刻みました。雨が降り始め、コースのとこどころでヘビーウェットとなる状況でも冷静な対応を見せました。明け方のセッションでは、空が明るくなるに従ってその時点でのファステストタイムを記録。ピットのどんよりとした空気が一気に引き締まったのでした。

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「今の若手ドライバーの適応力はすごいね」と、辰己総監督も関心しきり。

山内選手は、適応力、状況判断力、そしてチームでのコミュニケーション能力の高さを見せつける結果となりました。

しかしレース後、佐々木孝太の穴は埋められるのか勝利が必須のチームの役に立てるのか「実は不安だらけだった」と心の中を明かした山内英輝選手。と語ってくれました。

今年のレースは特に勝利以外は許されないというスバル/STIチームでの重責、慣れないニュルのコース、そして佐々木孝太選手からのスイッチという状況。山内選手のプレッシャーは、相当大きなものだったことでしょう。

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そのあたり、後日さらに詳しくインタビュー取材をしたいと思っています。