トヨタがスタートアップ精神をイメージさせる新型株式を発行

トヨタは、中長期の保有を前提とした、議決権のある譲渡制限付種類株式となる新型株式として「AA型種類株式」を発行する手続きを開始することを発表しました。

「AA型」という名前は、トヨタ初のライン生産したモデルである『Toyoda AA型』に由来するということで、まさに創業時の思いを感じさせるネーミングというわけです。 

Toyoda_model_AA

さて、「AA型種類株式」の特徴は次の3点となっています。

中長期の保有を前提とした種類株式
非上場かつ全期間譲渡制限付、議決権あり
発行から概ね5年経過後以降、株主は普通株式への転換および発行価格での取得請求が可能、発行体(トヨタ)は全部取得請求が可能 

つまり、最低でも5年間保有するという条件の株式といえ、普通株式に転換できるとはいえ、社債に近いイメージの投資といえそうです。なお、配当については、以下のように発表されています。

発行日が属する事業年度は0.5%、翌年度以降5年目まで0.5%ずつ 段階的に増加(5年目以降2.5%)

この新型株式によって調達する資金は、中長期にわたる自動車のビジネスサイクルに合致する研究開発資金として活用されることも発表されています。

燃料電池車や自動運転など、インフラ整備も含めて、自動車産業&市場の環境は大きく変わろうとしています。そうした変革へ対応する安定した研究資金としての新型株式。そこにトヨタ自動車の原点ともいえる『AA型』の名前を使ったということは、まさに第二のスタートアップとしての意気込みを感じさせるといえそうです。

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(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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