マツダの新世代AWDは、FFより燃費がいいってホント?

みなさんは、日本初の市販フルタイム4WD車を発売したメーカーがどこかご存知ですか? 実は、マツダなのです。

1985年にデビューした6代目ファミリア「GT-X」は、日本初のセンターデフ式フルタイム4WD車であると同時に世界初の横置きエンジンFFベースの市販フルタイム4WDでもありました。ちなみにそれをベースにした競技車両は、1987年のスウェディッシュラリーで日本車初のWRC総合優勝を飾っています。

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しかし近年になると、マツダの4WDはやや地味な存在となり性能的にも注目すべき点を見つけにくかったのも事実。あまり話題に上がることもありませんでした。

……なのですが、いつの間にか最近のマツダ車に搭載されている4WDシステムがちょっと凄いことになっていると評判になっていました。CX-5に初搭載され、今ではマツダの新世代モデルすべてに用意されている「i-ACTIV AWD」がそれです。

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その特徴は、路面を選ばずタイヤのグリップを最大限に発揮すること。

よく「シンプルな4WDはスリップを検知してから4WDに切り替わるのでトラクションがイマイチ」とかいうじゃないですか。実は世の中にはそんなシステムも存在します。さらにいえば「トルクオンデマンド」と呼ぶシステムにそんなタイプが多かったりしますよね。

実際のところマツダの「i-ACTIV AWD」もフルタイムではなくトルクオンデマンド式なのですが、他とは違うのがその凝りまくりの制御。車両速度、エンジン回転数、エンジン空気量/燃料噴射量、トランスミッション段位、アクセルペダル位置、4輪車速度など一般的なセンサーに加え、ステアリングトルク、パワステモーター電流、ステアリング角度、ワイパーモーター、外気温度、前後加速度、ブレーキ液圧まで信号を拾い、1秒間に200回も演算して綿密に制御しているんです。

天候を判断するためにワイパーの作動まで判断に含めているのはなかなかのアイデアですね。

そこで得た情報から判断し、状況を認識するだけでなく前輪のスリップまで”予測”。受け身ではなく、状況を予知して必要と判断すればスリップを検知する前に積極的に後輪へトルクを送るのがこのシステムのポイント。だから、アクセルを踏んでタイヤが動く瞬間から後輪にもトルクが伝わるのです。

また、反応遅れを徹底的に嫌っているのも特徴的。後輪へトルクを送る前から駆動系にごくわずかなトルクを与えておき、“駆動系の遊び”がトルクを伝えるときにコンマ数秒のタイムロスを生まないよう、あらかじめクリアランスを詰めておくという制御もこだわりのひとつです。

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筆者はそれらの制御とアイデアがもたらす、トルクオンデマンド式ながらフルタイム並みに高い走破性は雪道での試乗でしっかり確認済。まずスタートの空転が異様に少ない、その安定感には驚きました。

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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