“脱クルマ化”ではない、20代が考えた「クルマ+IoT」起業案ベスト5【Motors Hack Weekend 02】

12月6、7日の2日間開催された『Motors Hack Weekend』で“Clip”チームが最優秀賞を獲得したことはお伝えしましたが(記事はこちらから)、彼らを含め大会で受賞したチームのプランは「クルマを前向き」に捉えていたことが審査員からの評価に繋がったのではと筆者は考えます。

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そこで最優秀賞を獲得した“Clip”チームをはじめ、大会で受賞したチームのなかから独断と偏見で興味深かったプラン5つを紹介します。

【トヨタ賞】受賞
171を駆ける四頭の若獅子/『RED CHANCE!!』
その名の通りドライバーが大嫌いな「赤信号」をワクワクに変えるサービスが『RED CHANCE!!』。とくに新規性とエンタメ性の評価が高かったプランです。
赤信号で停まったクルマに対して抽選を行い、当選すると賞品をゲットできるこのサービスは、商品が当たるだけでなく位置情報や走行データ、履歴などの車両データからドライバーのニーズに合ったクーポンを提供することも想定していて、継続的な利用が見込めるほかクーポンに広告を掲載し収益を得るマネタイズの面での評価も高かったプランです。
「実現しようとすると、どうやって車両が停まったかを判定するか、前方の信号をどうやって判別するかなど難しい課題がでてくるように思う」といった審査員の意見があるなか、トヨタ・広報部メディアリレーション室の本多誠之・審査委員長(写真上から2枚目)は、
「切り口がとてもよく、アイディアが素晴らしい! とくにドライバー視点でプランを考えているところがメーカーとしてはありがたいことが評価した理由です」
と、受賞の理由をこのようにコメントしました。

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【IBM賞】受賞
片岡チルドレン/『Love Accelerator』
クルマを男女の“お見合いの場”にし、出会いのプロデュースをするというのが『Love Accelerator』。直訳すると「愛の加速装置」というプラン名は、車内で会話の仲介を行うデバイス(通称:おせっかいおばさん機)を搭載することを想定しているところから名づけられました。
「クルマである必要性がある?」という審査員の意見があるなか、コンセプトが明快なことや女性メンバー主導で立案したため説得力があるなどとくにエンタメ性での評価が高くIBM賞をゲットしています。

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【クリッカー賞】受賞
チーム五カ年計画/『Cool Drive』
草食系男子をターゲットに、運転中に確認しづらい女性の機嫌を声、体温、心拍数から解析しドライバー側にしか聞こえない“指向性スピーカー”で最適なドライブコースを提案するデバイスが『Cool Drive』。
男性。女性どちらもドライブデートを気持ちよい気分で終わって欲しい、と意味深なテーマで立案されました。
初日の中間発表では1位を獲得し、最終審査でも審査員からの反響は一番あったと思われるプランですが「ビジネスモデルとして上手くいくかが疑問」「草食系男子はそもそもクルマを持っていないのでは?」といった点などが懸念され最優秀賞を逃しました。

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【優秀賞】受賞
チーム電通大/『肴(サカナ)』
グループでドライブを楽しんだ際、常に進行方向を見ていないといけないため盛り上がる会話についていけないときがあるドライバーのためのデバイスが『肴(サカナ)』です。
デバイス発表時「自動運転が普及している」ことを念頭にヘッドマウントディスプレイを装着した運転手が自動運転時に後部座席に座る人たちと対面しているよう感じることができる映像が映し出され、しかも運転時はディスプレイが透過し視線を妨げない工夫がなされています。
「ヘッドマウントディスプレイである必然性がわかりにくい」という審査員の声が多かったのですが、そのディスプレイ(見本)を使ったプレゼンが大きな評価を得て優秀賞に輝きました。

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【最優秀賞】【マイクロソフト賞】獲得
“Clip”チーム/『CAR TALK』
「形に残りにくい車内でのふとした思い出を残すサービス」をコンセプトに、ログカメラとクルマを繋ぎ音声や動画、移動情報を取得し動画として提供するサービスが『CAR TALK』です。
初デート、プロポーズなどの特別なイベントだけでなく友達とのドライブ時などの動画と音声を撮影しサーバーに蓄積。
サーバーから写真や動画を取り出しせるだけでなく、音声のしきい値を超えた瞬間のみを取り出すことを可能としています。
同窓会などで「なんてことない」当時の会話を動画で振り返り盛り上がることができるこのサービスに審査員は、「体験を記録にする発想は、昨今のライフログブームの観点から良いと思う」など評価が高く合計195点を獲得し、最優秀賞とマイクロソフト賞をW受賞しました。

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今回の受賞案たちをいくつか見てみると、時代を問わず、やっぱり楽しくなるのはリアルなコミュニケーションだということも言えるかも知れませんね。

【テヅカ・ツヨシ】